西浦

□時々見せるカッコよさ。
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うひゃ〜ダメだ私。おにぎり配るのも緊張してる!!
ヤダなぁ〜もう...参った。


「苗字さん...。」

 
 ドキッ

「は...はい!?」

三橋君に話し掛けられた!!

「あの...いつも...ありがとう。」

「え...?」

「ま...マネージャーの仕事、大変な...のに...いつも...俺に、優しく...し、してくれて。」

「...え...?」

なに?なんで?それなら千代ちゃんだって優しくしてるじゃん。
だけど三橋君の顔を見てみると、何だか顔...真っ赤...。
いつものこと...だよね?


「それ、千代ちゃんにも言ったほうがいいんじゃない?」

「う...うん!!言って...みる!!」


 ズキッ


あぁ...そっか...そう...だよね。ちょっと...期待しちゃってた...かな?
バカだよ私。
なんで?何だろう...モヤモヤする。感謝...するのは私にだけじゃなくてもいい...っていうか、当たり前なのに...
何でかな...?


「苗字、どうした?」

「え?ううん、何でもない!!」

泉君に心配されてしまった。...何だろう...ホント...この気持ち。変なの。


そうして、今日はいつもなら野球部員よりも早めに帰る私達マネージャーだけど、監督との打ち合わせなどの話が長引いた為、今日はみんなで帰ることに...。
部員達はみんなトロトロやってて、遅い。


***


やっと準備が終わったらしいので帰ることに、まずはコンビニによって何かを買って、お腹を満たす。
私は夜遅くに食べるのは控えてるから、何も買わなかった。


途中、田島君に「パン1口あげる。」と言われたが、遠慮した。
「チェ〜」って残念がられた。何で?


あ...あれ?そういえば、


「あ゛〜!!忘れ物したぁ〜!!」

「「「は?」」」

みなさんからの一言。

やっちゃったぁ〜!!


「ゴメン!!私、取りに行ってくるから先帰ってて!!」

「でも、女の子1人じゃ危ないよ!?」

と沖君が。

「大丈夫大丈夫!!私1人でも全然!!」

「俺、一緒に行ってやるよ!!」

と田島君。

「大丈夫だよ。」

私はそう言った。

「じゃーねー」

「あ!苗字!!」


私は急いで自転車を走らせた。
本当は怖かったりするけど、仕方ない。




そんなこんなで学校に着いたはいいけど、夜遅くて怖い。
でも、行くしかない。そう思って校舎内に入っていった。


うわぁ...静か...ヤダなぁ...うぅ...

廊下を歩いていると...



スタスタ...と...足音!?

え?!お化け?!ヤダヤダ!!


急いで教室に向かおうとしたが、

あれ?暗くてどこか...分かんない。
電気も暗くてどこにスイッチがあるのか...
教室どこぉ?! 

しかも、足音まだ聞こえるよ!!
ヤダヤダ!!



「三橋君!!」

「は...はい?!」







...え...?何?今、誰か返事...した?
ていうか、私今...誰呼んだ?


「苗字さん...そこにいる...よね?」


 ドクッ


三橋君の声?


「みは...三橋君...いるの?」

「こ...ここに...」

「え?どこ?私鳥目だから、分かんな...」


 キュウッ


と何かに抱き締められた。

「ここ...だよ。」


 ドクンッ


わ...顔近い...三橋君...だ。でも...何でここに?ていうか、わ...わ...

「苗字さん、女の子なのに...1人でい...行っちゃう...から、俺...追い掛けてきた。し...心配だった...から。」


耳元で聞こえる三橋君の声。分かりやすい...。
ていうか、心配...してくれたんだ?
私も三橋君に腕を回す。


 キュウッ


「怖かった...」

「も...もう、大丈夫...だよ。」


変なの...なんか私、すごい三橋君に甘えてる気がする。...何でかすごい落ち着く。

「苗字さん?」

「ん?」

「忘れ物って...?」

「ん?あぁ...そう。ちょっとね、明日出さなきゃいけない提出物...親に見せてから出すから...それ持って帰らなくちゃって...。ゴメンね。」

「な...何が?」

「う...ううん?何でもない。」


じゃあ、取りに行ってくるねって言ったら、俺も行くって言って、手を繋いでくれた。
嬉しかった。


そうして、ようやく...提出物のプリントを持って、校舎内から出たらすごく落ち着いた。
ホッとするなぁ...。
でも、三橋君がいてくれて...よかった。




それから私達は、いつも別れる場所で別れようとしたけど、三橋君が...俺、送っていく...と言ってくれたので甘えてしまった。
私と三橋君の家もそこまで遠くないみたいなので、良かった。
自転車で通える範囲の近い学校選んだので。

私の家に着いた時、三橋君が...

「お...俺、苗字さんにい...言いたいことがあるんだ!!」

と言った。

「...何...?」

「俺さ、苗字さんのことがその...す...好き...です。」


ドクンッと私の胸が高鳴った。

今...なんて...好きって、私の...こと?ウソ...でしょ?

「三橋く...」

 ギュッ


と、気付いたら抱き締められていた。

「俺、俺なんかでよかったら...付き合って...下さい。」

「三橋君...」

「ぜ...絶対に...大切にする...から!!」

「...うん。私も、三橋君のこと大切にする!!」


カア〜ッと真っ赤な顔になる三橋君。


「き...キス...していい...ですか...?」

と言われた...から、つい...

「え?!」

と返してしまった。

「うわぁ!!い...嫌ならいいです...。」

「い...嫌じゃないよ!!ただちょっとビックリしただけ...。」

そう言って私達は触れるだけのキスをした。




時々見せるカッコよさ。
(いつもはカワイイほうが上だけどね。)
(え...?)




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