西浦
□雪の日の帰り道...
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...俺、何でコイツと話すときだけすげぇ子供っぽくなるんだ?
何だよ。『名前冷てぇ〜』って。 ま、いっか。
すると...
「あ゛〜!!」
ビクッ
耳元で叫ばれた。
「な、何だよ?!」
「雪ウサギ落としちゃった!!」
...と、すげぇショックを受けている名前。
「隆也にあげようと思ってた...のに...」
「あーはいはい。サンキュな。気持ちだけ貰っとくわ。」
「....〜〜〜! 何か...ヤダ。もう1回作り直す!!」
「いいっての!持って帰れねえし。」
俺がそう言うと、名前はちょっとシュンっとして、
「そっか...そうだよね...。」
と言った。
ちょー悲しそうな顔...。
「...んな顔すんな、笑ってろ。」
名前の髪をクシャッと撫でた。
「...うん...。」
「さてと、帰んぞ。」
と、俺がそう言い、名前に手を差し出した。それを見た名前は、パアッと笑顔になり、俺の手にそれを伸せた。
そうして、手を繋いだはいいが...冷てぇ手...。手袋も何もしないで、あの雪ウサギを作っていたのかコイツは...。
俺が色々と考えていると...
「ねえ、隆也。」
と、名前が口を開いた。
「ん?」
「見て!この景色...綺麗だと思わない?」
「何が... おぉ...」
俺が見た景色は、木に積もった雪...枝の1本1本に降り積もっていて、すごく綺麗なものだった。
この辺は雪が降ることは滅多にないものだから、感動した。
「本当は、この景色を隆也と一緒に見たかったの。教室から見えたこの景色、すごく綺麗で...だから1秒でも早く、校門に出ていようと思って。」
「俺がいねえのに...?」
「うん...。気付いたら、ここまで来てた。」
満面の笑顔でそう言う彼女はとても輝いて見えた。
フッ
「お前らしいわ。」
「えへへ...隆也、これからも私のこと好きでいてくれる...?」
「何言ってんだお前。」
「...え...?」
俺は彼女を抱き締め...耳元で、
「これからもずっと好きでいる。当たり前だっつの。...好きだよ。」
そう言うなり、名前は思いっきりギュッと俺に腕を回した。
「うお!?」
「...私も、隆也大好き!!」
ギュムーッと俺に抱き付いている名前は、なかなか離れねえ。
「名前、ちょっと離れてくんねぇ?」
「ヤダーもうちょっと〜隆也あったかい〜」
「キスしてぇんだけどなぁ〜」
「なぬ?!」
「離れねぇなら出来ねーぞー」
「わわ..イヤだ...す...
彼女が離れた瞬間に俺は彼女の唇を奪った。
ゆっくりと唇を離して、1番最初に見たものは...
真っ赤になった名前の顔。...タコみてぇ。
「た、隆也反則!不意打ちすぎ!!恥ずかしい!!」
顔をおさえ、真っ赤になって照れまくっている。
コイツ、表情豊かだよなぁ〜
すると...
「あ、そうだ!!写真撮ろう!隆也写って!!」
「あ?景色だけ撮りゃいいじゃねえか。」
「え〜ヤダ〜!!いいから隆也もぉ〜あ、でもまずは景色だけのも撮るね!ちょっと待ってて!」
パシャッ パシャッ
と、写真を撮りまくっているコイツ。
「撮れたぁ〜!さあ、隆也も写ろうか!!」
「お前は?」
「え?私は撮るほうが好きだし(主に隆也を)いいよぉ〜」
「ふ〜ん。」
そうやって名前はカメラを構えた...が...
グイッ
「ひゃ...!?」
俺はコイツを引っ張り、
「どうせ撮んなら一緒に写ろうぜ。」
と言い、携帯のカメラを向け、カシャッと撮った。
お、結構いい具合に撮れた。
「あ、隆也だけずるい。私の携帯でも撮らせて。」
「は?また撮んのかよ。ヤダ。じゃあ、俺がお前にコレ送っから。」
「やったぁ〜!ありがとう!!」
赤外線を通じて名前の携帯に送られた。
コイツは1個1個のことですげぇ喜ぶよなぁ...。と実感する。
ちょっとの間、その写メを眺める名前。
そろそろ帰らねえのか?
『さてと、帰んぞ。』と言った時間から一体何分経ったんだ?
すると、名前は満足して、「帰ろっか。」と言った。
「おう。」
再び繋いだ手は、やはりまだ冷たい。のは当たり前だけど、何となく温かく感じた。
雪の日の帰り道...
(なかなか一緒には帰れねえけど、今日はだいぶレアだった。)
(ねぇ〜景色綺麗だねぇ〜)
(何か違うような...)
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