西浦

□花火の夜に....
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「ねえねえ名前!!」

「ん?何?」

「今日って花火大会あるらしいよ!!」

「花火?何処で?」

「地元のだよ。いつもやってるでしょ?」

「あぁ....。」


花火....か。思い出すな...あの時を...。


***



「苗字、あ...あのさ...明日花火大会あるから、一緒に見に行かない?」

「え?う...うん!行く!!」


誘われたんだっけ。彼に...

栄口君...。

その花火の後に告白されて、付き合うことになった。

でも、
もうきっと出会うことはない。
だって私達、遠恋することになるからって別れたんだもんね。


でもね、私は遠恋でも良かったの。私はずっと、あなたのことを好きでいられる自信あったから。
......だって、今でも好きだもん。

でも、栄口君は優しいから、私を1人にさせるのが嫌だからって....別れを選んだ。

....でもね?意味なかったんだよ?
だって私、あなた以外の人を好きになんてなれないんだもん。

.....もうあなたと別れて7年。
....想いだけが募ってく。

「名前....名前!!」

「え?!何?!」

「何って....もう!!名前は花火見に行くの?」

「行かないよ!どこぞの誰かさんと違って、彼氏なんていませんから〜」

「あ、そっか〜」

「うわ、ムカつく〜」

あははは....と笑いあう。私と仕事場の友達。
実際、自分で彼氏いないって言ったのは、自滅するくらいの破壊力だったかもしれない。

「まあ、彼と楽しんできな。」

そう、私は言った。

仕事が終わったのは、夜の7時頃で、それから....友達は仕事が終わってすぐに彼氏と約束をしていたらしく、そのまま直行していった。

私は....何となく、家に帰るような気分ではなかった。
....花火....私も、寂しいけど1人で見ようかな。そう思い、軽く寄り道してから花火が見える所へ向かった。


来た場所は、栄口君と一緒に花火を見た場所。
馬鹿だと思い、何度も引き返そうとしたが、足は言うことを聞いてくれない。

彼曰く、穴場のスポット...。
花火を見に来ている人は、ここがキレイに見える場所だということを、誰1人として知らない。
彼が見つけた場所。 

......ここで、花火を見たら....この恋はもう、キレイに忘れてしまおう。

......そう私は決断した。



 ヒュ〜 ドンッ ドンッ


花火が上がった。


「うわぁ〜....キレイ....。」


ここの花火は、彼と付き合ってからもずっと一緒に見ていた。
別れてからは、一度たりとも見ようとはしなかった。
見るのを拒んでいた。

だって、見れるわけないでしょう?こんな....思い出の花火なんか....。
今日はあなたのことを忘れるために見に来たのに...


「勇....人く...勇人君...。」


最後にあなたの名前を呼ばせて。
もう、終わりにするから。

「やっと見つけた。」


ドクッ


え?何?この懐かしい声...

振り向きたいけど、ダメだ。
振り向けない。
だってこの声....

「名前」

「.......!!」


彼の手によって、向けされられてしまった。

やっぱり...やっぱり...

「勇人...く...」

「名前」


どうして?もう会うはずないと思ってたのに...
会っちゃいけないはずなのに...。

「名前。」

懐かしい....そうやって呼ばれるの...。

私は自然と涙が流れた。

「......俺、ずっと名前と別れたの、後悔してた。
だって俺、名前のこと忘れられなかった。
名前しか、好きになれなかった。」

「わ...私も...私も同じ...。勇人君しか、好きになれないの。
これからもずっと...勇人君じゃなきゃ、ダメなの!!」


今までずっと溜め込んでいた気持ちを言った。
嗚呼...私はこんなにも勇人君のことが大好きなんだ...って、改めて分かった。

すると、勇人君は私のことを思いっきりギュッと抱き締めた。


「...名前、俺...本気でやり直したい。」

「....私も....!!」

「もしかしたら、これからも待たせちゃうかもしれないけど、それでも...いい?」

「うん!!うん...待つ!!」

「ありがとう。」


勇人君...大好き...。夢みたいだよ...。


その後、花火は終わってた。
あの時みたいに、一緒にゆっくりと見たかったなっていう気持ちはあったけど、どうでもいい。
勇人君とまた結ばれる日が来ただなんて...。


「ねえ、名前?」

「なあに?」

「俺が今日...何でここに来たか分かる?」

「え?」

「実はさ、今日って俺達が付き合った日と同じ日でしょ?」

「え...あ...!!本当だ!!」

「うん。だから、またやり直すにはこの日がいいって思ったんだ。」

「もしかして勇人君、私に振られない自信たっぷりだったんだね?」

「まあね。....何て?」

「フフッ」


そんな所もひっくるめて、私はあなたに恋をした。
この気持ちは、昔も今も変わってない。


勇人君....大好きだよ。
そして、これからはずっと一緒だよ??


花火の夜に....
(もう一度....)






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