西浦
□私達の幸せすぎる約束
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「ねえ、孝介。」
「ん?」
「私が20歳になったら...私を孝介のお嫁さんにしてほしいな...。」
「うん。いいよ。」
ジリリリリ... バンッ!
「ん?なんだ...夢か...。」
この約束...一体いつしたのだろうか。
私と孝介は幼馴染みで、小・中・高でず〜っと一緒だった。
家も隣でお互い無断で出入りする関係で...
そして、私達は中学3年の頃から本格的に付き合い始めていた。
...とか言ってもあんな約束をしていたぐらいだ。あの約束は今でも覚えている。
もうその時から付き合っていたようなものかもしれないが。
そこはツッコまないでおこう。
...孝介はあの約束を覚えているのだろうか?
今日は私の20歳の誕生日で...
だけど、お互い忙しくてなかなか会える機会もなくて。(隣なのに)
本格的に仕事に就いた孝介と、大学に通っている私。
ま、いっか別に。
開き直る私もどうかと思うが。どっちにしろ私は学生だ。結婚なんて出来ない。うん。
でも仕事の合間とか大学の休み時間とかには毎日電話もするし、休みになった日は必ずデートもするし。滅多にないけど。
だけど、家が隣同士でも家に帰ってくる時間が遅い孝介とは、こんなにも会えなくなるだなんて思いもしなかった。
...本当はちょっぴり寂しかったりする。
ま、とりあえず今は朝だ。大学に行かなくては...。
急いで支度をして家を出た。
大学に着いたら...
「名前〜誕生日オメデト〜!!」
と、祝ってもらった。
「ありがとう。」
ニコッと笑って返した。
今日の授業を受け終わった後、友達とご飯を食べに行ったりして、遊びまくった。
「彼氏とはどうなの?」
とか、
「名前の彼ってイケメンなんでしょ?」
とか聞かれた。
写真見せたら、(携帯)
「カッコイ〜!!」
「わあ、私タイプ。」
とか言われた。
そうなんだよね...孝介モテるからな。
特に高校...あん時はモテたね。
クラスの女子が噂したりしてるの聞いたからな。
『野球部の泉君でしょ?カッコいいよね〜!』
とか、
『でも泉君って彼女持ちらしいよ?』
とか。
あの時はだいぶヤキモチやいてたな。
孝介に言ったことはないけど。
そりゃあ、自分の彼氏が誉められるのは嬉しいよ。嬉しいんだけど...何でかモヤモヤするんだよね。という矛盾。
私達が付き合い始めたのは中3だから、かれこれ5年は付き合っているのか。
うん。卒業式で告白されたんだよ。あのときはメチャクチャ嬉しかったな。
とか、色々と思い返してみる。
「あ、名前にやけてる。」
「本当だ。」
と、言われてしまった。
...苦笑いするしかなかった。
色々話し終わって、誕生日会らしきものはお開きになった。
家に帰った後、そっこーでお風呂入ってベッドに寝転がった。
「...孝介から、電話もメールも来なかったな。」
そんなことを思う自分。だけど、孝介だって忙しいからな。仕方ない。
...だけど、私の誕生日忘れちゃったかな?
まあ、あの約束はともかく、誕生日忘れられているのかもしれないということを考えると、やっぱり寂しくなった。
ハァ〜ッ
ハッ...溜め息ダメ!幸せ逃げる。と、手遅れの時点で思った。
寝よっかな?
そう思って電気を消したと同時...
ピリリリリ...
ビクッ!!
誰から?と思ってケータイを見たら、
「...孝介...?」
...孝介だった。
ついでに電話だから、急いで電話に出た。
「...も...もしもし?」
『名前?悪ぃ、こんな時間に。』
「う...ううん?大丈夫だよ。」
『...あのさ、ちょっと窓の外見てみ。』
「え?...うん。分かった。」
そう言って私は窓の外を見た。
おぉ...星がキレイ...
「名前!こっち。」
と、あまり大きな声ではないが聞こえてきた声。
「!孝介...?!」
下を見ると孝介がいた。
「ちょっと降りて来て。」
「うん。」
私は急いで外に出た。