天使の恋

□第二章
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音はまだ消え続けていて、まるで時が止まってしまったかのようだった。
男の子はあたしに死の宣告をして、近かった距離を離すように上半身の体重を後方へ傾けた。
あたしは瞼を数回はためかせ、小さく口を開いた。
「……は?」
なに言ってんだ、コイツ……。
「いやいや、「は?」じゃなくて」
「冗談はいいから。あたし今生きてるし」
あたしがそう言うと、男の子はいかにも「めんどくせぇ……」みたいな顔をして頭をかきむしった。
そしてそのままごろんと横になり、なんか寝る体制みたいになってしまった。
「ちょっと待ってよ! だって、じゃあ大体なんであたしが死ななきゃならないわけ? 理由を教えてよ」
怒ったように言ってみると、男の子は気だるそうにゆっくり起きあがった。
「だからそういうのは全部、担当の天使の仕事なんだよ。探してこいよ」
それで全てのカタがつく、と男の子は再び寝ころんで瞼を閉じてしまった。
ていうかまず何より記憶がない。死んだ記憶なんてまずない。
それに、もし仮にあたしが死んでるとしたら、ここって――。

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