戯言夢小説
□ヨンジョウオオハシ
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「ふぅん、あんたも直接攻撃型か。」
「うん、澄百合学園にしたって策士は珍しいよ。子荻ぐらい。」
私たちは今、四条大橋を歩いている。
だらだらと、
何の目的も無く。
「萩原子荻ねぇ…、聞いた名じゃねぇか。確か匂宮の≪断片集≫と殺りあったって聞いたな。」
「詳しいね。」
「まぁね、情報収集は得意なんだよ。にしても、澄百合学園ね…これもやっぱ『必然』ってやつかな…。共通の知人が多そうだな。西条玉藻とか。」
「西条ちゃんか…」
構内きっての武闘派、澄百合学園期待のホープ、西条玉藻。
私あの子苦手なんだよね…。
ゆらゆらしてて、訳分かんなくて。その上子荻に懐いてるし。
でも、正直言って、羨ましい。
目の前にいる零崎人識と同じく。
生粋の殺人鬼。
零崎中の零崎。
なんでもないように人を殺す。
殺し名の中でも最も忌み嫌われる集団、零崎のダブル。
生きる道が決まってるなんて、私にとってはこの上なく羨ましい。
「ねぇ、人識君、零崎になるのって、なんか資格とか条件あるの?」
「んん?資格や条件?そうだなー…。あるのかな。いや、あらゆる資格の無いものが零崎になったって感じかな。」
「ふぅん…。いいな。」
「あぁ?零崎一賊が?お前何言って___」
「家族の為なら何でも殺すんでしょう?それだけ仲が良いんじゃない。」
「仲がいいってなぁ……殺人鬼だぜ?」
「信頼し会える人がいるのは幸せなことだよ。」
「信頼ねぇ…なんか違うと思うけど。」
「澄百合学園、いや、首吊高校か…、は、そんなこと教わらないし。だって、標語が、≪人を見たら気配を消して背後に忍び寄れ≫だよ?人を見たらそいつがまずどんな奴かを判断する前に、殺してから判断しろ、ってこと。人なんか、自分以外の奴なんか、信用してはいけないって教わってるんだよ。」
だから私は、あそこを抜け出したんだ。