結界師

□-雪が降る-
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-雪が降る-


「わ、雪だ。」

俺、墨村良守はクリスマスだというのにいつもの如く家業を淡々とこなしている。
妖も今日がクリスマスだと知ってか知らずか、いつもより少ない、今日は早めに終わりそうだ。

朝、起きたら枕元にクリスマスらしく赤い包装紙にサンタやトナカイやらをプリントされたもので丁寧に包まれている箱が置いてあった。これといって驚かず…いや、実際少しは驚いたかな、丁寧に包装紙を箱から剥がした。
中には最新の電動泡だて器とお菓子の本が2冊ほど入っていた。きっと、父さんが気を使って買ってくれていたのだろう。後で聞いたのだけれど弟の利守は前から欲しいと言っていた本と図書券2枚ほど貰ったそうだ。…兄貴は貰ったどうかさえも知らないが、父さんの事だろう、きっとおいしい和菓子を夜行の皆で食べれるくらいの量を箱に詰めて送ったに違いない。

夕飯は大きな鶏肉が出て、クリスマスらしいメニューでとても美味しかった。じじいは「クリスマスなんか…」とか言いながら米粒一粒残さずきれいに完食していた。しょうがない、父さんの作る料理は美味しいから。
食後には、昼間の間にさっそく貰った電動の泡だて器を使って作ったケーキを作っておいたので皆に振舞った。やはりじじいは「ケーキなんざ…」とかいいながらクリームを少しも残さず完食してくれた。父さんや利守も「おいしい」と言っていて少し嬉しかったかな。

その後はいつもと同じで風呂に入り、式服に着替えて出勤した。皆に振舞うのとは別で昼間に作っておいたレアチーズケーキの箱を持って、
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