Story
□どんな理由でも
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「ねぇねぇ、このペアカップ良くない!?」
小倉さんは二つのカップを両手に見せてきた
「えぇ〜本当に買うんですかぁ〜?」
ここはとあるデパートの食器店
タケルと瑠可がお揃いのペアカップを持っているのに便乗して、
小倉さんが自分たちも買おうっ、と言い出したのが始まりだった
私は別に乗り気じゃなかったんだけど…
小倉さんがあまりにもペアカップってうるさいから見にきたという訳だ
「買うためにここに来たんじゃないの〜」
「別にペアカップなんて買わなくてもいいじゃありませんか〜。私たち別に、特別な関係ってわけでもないんだし」
私は腕を組んで言った
「…だって、寂しいじゃない」
小倉さんはカップを持っていた両手を下ろしながら言った
「小倉さん…?」
「…もうっ、おぐりんでいいって言ってるでしょ」
私はこの時、小倉さんの心の思いを聞いた気がした
「そうだ、おぐりん!ちょっと小腹すいたからどっかのレストラン行きましょうよ」
私はそのままデパートの外へ向かった
「え…!?ち、ちょっとペアカップは〜!?」
「また今度〜!」
そして私たちは近くのレストランへと向かった
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