短篇
□愛しい君
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最近あいつに全くといっていいほど会わない。
最後に会ったのは一週間ぐらい前だったか。確か沖田君と見回りをしている最中にばったり出会したのだ。
「ぁ〜よけいに会いたくなっちまった。」
にしても、何でこうも会えないのかね?
………もしかして、避けられてる?
「ハハッ、まさかねぇ。いや…ひょっとすると…イヤイヤない。うん。ありえない」
独り言をブツブツと言い、しまいには一人ツッコミをし始めたため、周囲からは不審者でも見るような視線が嫌でも伝わってくる。
「旦那じゃァねーですかィ」
茶髪のサラサラヘアの沖田が立っていた。
「ちょうどいいところに!なぁ、最近あいつ見ないんだけど、何かあったの?」
「土方さんの事ですかィ?普通に仕事してますぜ?」
「でも見回りは?」
「今日は午前中に一回周りやしたけど。午後の部は俺一人ですけどね。もしかして…避けられてるんですかィ?」
「んなことねーよ。たぶん」
沖田君の話を聞いてる限りじゃぁ不審な点はない。
「今、どこにいるか教えてくれない?」
「きっと屯所にいまさァ」
「ありがとよ」
そう一言かけて、俺は屯所に足を進めた。
屯所に入る際にジミー君に止められたが沖田君から了承を得たと言ったら、すんなりと通してくれた。
トントン
障子を叩く。
「誰だ?」
俺が聞きたかった声がした。
障子を開け中に入ると目を大きく広げ驚いた顔。
「なッ!万事屋がなんでこんな所にいやがる!?」
俺は土方の右手を捉えた。
「最近会えなかったからわざわざ来てやったんだぞ?」
「誰も頼んでねーよ!さっさと帰れ」
「ンな冷てー事言うなよ」
捉えていた手をグッと引っ張り互いの唇が重なった。
「ん…ッ…やめッ」
ドンッと胸板を押され唇が離れた。
「なぁ俺、お前に何かしたか?」
「…してねーよ」
「じゃぁ何で「ゴホッゴホッ!」
訳が分からないと不貞腐れていると、いきなり土方は咳き込み出した。
「おい、大丈夫か!?」
「ゴホッ…コレで分かっただろ」
「お前、風引いてンのか?だから俺を避けてたのか?」
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