story
□ロックの日
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―それは突然に。
「刹那、今日がなんの日かわかるっ?」
話し掛けてきた彼は笑顔でそう訊ねた。
「…いいや、知らない」
"また"子供の日やら母の日だとか言い出すものだと思っていた。
「今日はね…っ?」
―わかっていた。
あいつ絡みのことになると、巻き込まれるのは自分だって…
*幸せ語呂合わせ*
「なんだこれ?」
そこには戸惑うロックオンの顔があった。
「なんなんだ…お前ら…?」
「なんだかんだと聞かれれば」
「答えてやろう、ヴェーダの情け」
「お、おい!やめろっ、なんか知らんが冷や汗が出る!」
ロックオンが慌てて二人を静止した。
「…で、真面目にどうしたんだ?この段ボール」
そう言ったロックオンの部屋の中は大量の段ボールがあった。
「プレゼントだ」
刹那が口を開いた。
「……プレゼント?」
「そうだ」
「今日はロックの日だからな」
「ロックの日?」
意味を理解出来てないロックオンにアレルヤが説明する。
「今日は6月9日で“69”(ロック)の日なんですよ」
「語呂合わせでか」
「はい。ちょっと安易ですけど」
「で、これはお前らから俺への贈り物ってわけだな」
「ああ」
「以前じゃがいもが好きだと聞いてな」
ティエリアが得意気に言う。
「そっか…、わざわざありがとな」
ロックオンが笑ったのを見て、微かに刹那が微笑んだ。
…刹那の隙が出来たその瞬間。
「刹那・F・セイエイ、覚悟っ!」
「ごめんね、刹那っ」
ティエリアとアレルヤが刹那に素早くリボンを巻いた。
「………なんだこれは」
「お楽しみだ」
ティエリアが黒く笑ったその時、背筋がぞっとした。
「お楽しみ…?」
「ロックオン、じゃがいもだけじゃあれなんで、刹那もプレゼントしますよ」
アレルヤが笑顔でさらりと言った。
「な…!?」
「あ、当分ミッションは無いそうなので、二人で楽しんで下さいね」
そう言ってアレルヤとティエリアはそそくさと行ってしまった。
そこに残されたのは大変な贈り物をされたロックオンと、贈り物にされてしまった刹那。
刹那的には最悪だが、ロックオンには最高の現状。
「あのー、刹那…さん?」
肩に軽く触れる。
「俺に触れるな」
そう言われて頭突きを食らってしまった。
「……いい度胸だ、刹那。お仕置きが必要だな…!」
当たり所が悪かったのか、それなりに痛かったらしい。
僅かに涙目だ。
「今日は手加減しないからな」
そう言い放ったロックオンに押し倒される刹那。
…結局またこの立ち位置かと軽く諦めた刹那だった。
後日、6月9日にトレミー内で誰が一番ロックオンの気に入るプレゼントを贈れるか、という賭けが行われていたのが発覚。
見事に駆逐されたのであった。