story

□欲しいのは君だけ
1ページ/2ページ




「傍に居るだけでも、幸せなんだぞ…?」

「ま、刹那にはまだわからないよな…」

俺が眠りに落ちる瞬間、ロックオンは笑いながらそう呟いた。

「………わかってないのは…お前の方だ……」







せっちゃんを祝おう。






「おっはよー!せっつなぁ〜」
いつものようにハイテンションで部屋に訪れたのは俺の恋人、ロックオン・ストラトス。
「…何なんだ、朝から」
「相変わらずつれないなぁ〜」
笑いながらロックオンは刹那に抱きつく。
「ん〜、せっちゃん良い香り〜」
刹那の髪を指でくるくるといじる。
「やめろっ、…この馬鹿ロック!」
「酷いなぁ、ロックお兄さん、傷ついちゃうぞ」
「…アホか」
刹那が呆れたところでロックオンはやっと刹那を離した。
「…で、用はなんだ」
「ん?俺が用事があってきたって分かるの?」
「用が無いなら帰れ!!!」
「…そんな言わなくても…」
キッパリ言った刹那にロックオンは少し凹む。
「…刹那さぁ、なんか欲しいモノってある?」
………急になんだ…?
欲しいモノ……?
「…ロックオン、それは――…」

「今この状況で聞くことなのか?」

今この状況と言うのは、今現在の刹那の体制やら何やらのことで。
ロックオンのハグから解放された刹那は油断した隙に押し倒されていた。
「え?なに?゙もう我慢出来ない゙?」
相手はふざけてニヤニヤしながら言う。
「そんな事言っていない!!!この馬鹿ロック!」
ロックオンは顔面に見事なパンチを喰らった。
「せ、せっちゃんの愛のパンチだと思えばこれくらい…!」
「次は本気のだ」
「ゴメンナサイ」
ごめんなさいで済むと思っているのか、この変態は…!
「いやー、可愛すぎてつい」
ついじゃねぇよ…。
結局刹那はまたロックオンに抱かれるカタチになった。
「俺のせっちゃんそろそろ誕生日だろ?
だからさ、なんか欲しいモノとか聞こうと思って」
…誰が゙俺の゙せっちゃんだ…俺はガンダムだ…
「……知っていたのか?」
「そっ…!そりゃあ可愛い恋人の誕生日ならな!?」
何か慌てながら言う。
……嘘っぽい…
「ほんとはたまたまだけど…」
「何か言ったか?」
「なんにも!!?」
それで、と話を戻す。
「こういうのはお楽しみにした方が嬉しいんだろうけどさ、俺はお前がほんとに喜ぶヤツをあげたいんだよ。
だからさ、何か欲しいモノないか?」
「………ロックオンは馬鹿だ」
「?」
ロックオンがくれるモノなら、何だって嬉しいのに。
変なところで鈍感なヤツだ…。
「………何もない」
なんだか気にくわなくて、ぶすっと答えた。
「なんで?欲しいモノくらいあるだろ?」
「ない」
刹那とロックオンの言い合いが始まる。
「あるだろ?」
「ない」
「ある」
「ない!」
「いや、あるね!」
「ないと言っている!」
だんだんと激しくなっていく。
「あるだろ!言えって!」
「そんなモノない!」
「何でも良いから゙欲しいの゙言え!」
「……えだ…」
「へ?」
急に返事をするから聞き取れなかった。
「お前が欲しい」
「………!!!!?」
いきなりの刹那からの大胆発言に一瞬固まる。
「モノじゃなくても良いんだろ」
刹那が真っ直ぐにロックオンを見つめる。
「…せっちゃん、それは…」
「なんだ」
「プロポーズとして受け取って良いのか?」
「!」
一瞬で顔を真っ赤に染めた刹那が再びロックオンにパンチを繰り出した。
「…もういい!この馬鹿ロック!」
「じょ、冗談だよ刹那…ごめんυ」
ロックオンが刹那を優しく包み込む。
「ありがとう、刹那。嬉しい…」
やっぱり馬鹿だ、ロック。
「礼を言うのはこっちだ…」



誕生日、なんにもいらない。

お前が傍に居てくれるだけで、それだけで、十分幸せなんだ。

「愛してるよ、ソラン…」

「…俺も…愛し、て…る、ニール……」

見つめあって、優しいキスを。




いつの間にか五月蝿くて仕方なかったアイツに夢中になっていたんだ。


気づいたらいつも目で追っていたんだ。


今はもうお前無しじゃいられない。


お前が隣に居る、最高の誕生日を…






次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ