家族パロ

□たまには子供らしく!
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AM 6:00
朝からそれはハイテンションだった。
「せっつな〜!おはよー、そして起きろっ」
「…ん……」
「ほら、起きる!」
(朝から五月蝿い…)
ロックオンが布団を剥ぎ取り無理矢理起こす。
「……………」
「おはよーさん」
睨みつけたがロックオンには効かず、笑みが帰ってきた。
…こいつはホントにアホだ。
「ロックオン、刹那が起きたら準備して下さいねー!」

そうアレルヤの声が一階から聞こえた。
「…と言うわけだ。ちゃっちゃと準備済ませるぞ」
準備……?
「ま、待て!意味がわからない…。準備ってなんだ?」
「ん〜〜?」
ロックオンが手を顎にあて考えるポーズをする。
……なんだか余計アホそうに見えるが。
(…じゃなくてアホだな)
「言わない方が良いよな…うん!何でも無いぞ刹那!」
「嘘をつくな」
バレバレの嘘。
明らかになにかあるのに違いない。
「気にしない気にしない♪」
ロックオンは刹那を抱き抱え有無を言わさず下まで連れていった。


「おはよう、刹那………ってなんでそんなに不機嫌そうなの?」
「…不機嫌そうじゃない。不機嫌だ」
ぶすっと答える刹那にアレルヤは苦笑した。
「ロックオン…刹那にちゃんと言ったんですか?」
「いんや、言ってない。…こういうのはお楽しみだ」
にま、と笑って指を立てた。
「そうですか…」
一体今日に何があるんだ…?
急に体が重くなった。
「…なっ!?おも…っ」
「っはよー!刹那ァ!」
「…ハレル、ヤ…か」
この時期になるとハレルヤは必ず家に泊まりにくる。
アレルヤは気を抜きすぎだから心配なのだと言っていたが…。
「あっ、オイ!ハレルヤ!なに許可無く俺の刹那に抱きついて…!」
ロックオンが割り込んで来た。
「うっせ、誰がテメェのだロリコン!
抱きつくのにいちいち許可取ってられっか」
ハレルヤが刹那を抱きしめる腕に力を込めた。
「ロリコ…!?
とにかく刹那を離せ…っ!」
ロックオンがハレルヤを引き離そうと腕を引っ張る。
「ヤだね!」
「離せ!!」
(く…苦しい……)
「おい馬鹿ども。刹那を離せ、苦しがっている」
その発言でなんとか解放された。
「ティエリアおはよう」
コーヒーを持ってきたアレルヤが笑顔で言う。
「…おはよう」
ティエリアが少々赤面する。
「んだよお前かよ…!」
ハレルヤの一言にティエリアがぴくりと眉を動かした。
「…どういう意味だ、ハレルヤ」
「べっつにぃ?」
「じゃあこの手はなんだ…!」
ハレルヤの手はティエリアの胸元にあてられていた。
「こりゃ女じゃないな」
「俺は男だ!」
ティエリアとハレルヤの言い合いが始まった。
「さ、気にしなくて良いから朝御飯食べなよ?」
「………(コクリ)」
二人の喧嘩はいつものことだから、どうせ直ぐに終わる。
…と思っていたのだが。
「何言ってやがる!このおセンチ野郎ッ!」
「俺はただありのままの事実を述べたまでだ」
「何が“ありのままの事実”だ!
アレルヤは俺のもんだ!」
刹那争いの次はアレルヤ争い。
…まぁいつものことなのだが、今回は二人共いつも以上に言い合っていて、それにアレルヤが巻き込まれていた。
「アレルヤは俺の方が好きだ」
「いーや、俺だね!そうだよなァ?アレルヤァ!」
その本人は二人に言い寄られて困惑の笑みを浮かべている。
「…あ、はは…僕は二人とも好きだよ…?」
予想通りの答えだったが、それ以外の選択肢など無いだろう。
(アレルヤは優しいからな……)
そう思って刹那はわざとミルクを溢した。
「刹那っミルクが…」
「!刹那、今すぐ俺が拭いて―…!」
秒速で刹那の腕を掴んだロックオンをギロリと睨んでやる。
(こういう時くらい、空気を読め……!)
…それが伝わったらしくロックオンは残念そうに手を離した。
「アレルヤ、俺はテーブル拭くからお前は刹那の替えの服出してきてくれ」
「…え?あ、刹那…!?」
刹那は戸惑って立ち尽くしていたアレルヤの腕を引っ張って行った。
「………ちっ」
「…ふんっ」
アレルヤを連れていかれ、残された二人は静かになった。


「……大丈夫か?アレルヤ」
「え?…ああ、うん、大丈夫…」
刹那から「大丈夫?」などと言われるとは思わなかった………というのが顔に出ていたのか、刹那が苦笑する。
「アレルヤは、いつも大変だな」
「…大変?」
「いつも二人に取り合いされているだろう?」
「…ああ、そのことか」
アレルヤは少し苦笑いした。
「大変…ではないかな?僕は二人とも好きだから」
「好き?だがいつも巻き込まれて嫌じゃないのか?」
「うーん…、嫌っていうか…。好きだから…、好きな人と一緒に居れること自体が嬉しいから。……喧嘩は嫌だけどね?」
そう言ってアレルヤはふっと笑った。
「…俺には判らない」
好き?嬉しい?
アレルヤは何を言っている…?
「刹那には早かったかな…?でももうそういう年頃だし…疎いだけ…?ロックオンも手を焼くわけだ…」
最後の方は独り言のようだった。
「それより早く着替えなくちゃね。そのままじゃ風邪引いちゃうよ」
アレルヤに言われて自分のカッコを思い出した。
「それにこの後予定もあるしね」
「予定とは何なんだ?」
少し考え込む。
一体何があるんだ?
「……ロックオンは何にも言わなかったんだよね?」
「ああ、だからアレルヤに―」
アレルヤが悪戯な笑みを浮かべた。
「じゃあ僕も内緒にしとくね」
意外な返事に少し困った。
アレルヤなら答えてくれると思っていたから…。


それ以上追求することなく服を着替え終わった俺は再びリビングに連れられた。
「おせぇぞアレルヤ!」
ハレルヤが待ちくたびれていたと不機嫌な顔をする。
(たった10分なのだが…)
「ごめんね、皆は準備出来てるの?」
「出来ている。もうさっさと出発しよう」
ティエリアが二人を引っ張る。
その後ろをハレルヤもついていく。
「おいおい、俺は置いてきぼりかよ?」
ドアを開けたらロックオンが笑いながら立っていた。
「お前らのやりそうなことはお見通しだ」
「……じゃあ家に残っていて下さい」
ティエリアがキパッと言う。
「それじゃ、誰が運転するんだよ?」
「ハレルヤだ」
任せろ!とハレルヤ応えた。
「バイクに乗り込んで夜の海まで走らせてやるぜ」
ウィンクをしてグッとポーズを決めるが
「……慎んで辞退する」
明らかに引いたティエリアにあっさり切り落とされた。
「ほら、やっぱ俺が居なきゃ駄目だろ?」
「…さっさと行くぞ」
機嫌を損ねたティエリアがフン、と言い車に乗り込んだ。
「刹那は助手席な」
ロックオンが刹那を助手席に乗せようと無理矢理抱き抱えたが
「ロックオン、刹那にナビは出来ないですよ。僕が乗ります」
とアレルヤに刹那を取り上げられた。
「刹那はこっちだぜ」
結局ハレルヤとティエリアの真ん中に座ることになった。
「じゃあロックオン、出してください」
「あいあいさぁ〜…」
ミラーで無意味に刹那をちらちら見ていたロックオンがしょんぼりと(ティエリアに万死に値する程気持ち悪いと言われた)返事をし、アクセルを踏んだ。
その様子を見て呆れたアレルヤがロックオンにそっと話した。
「…今日行く所、限定グッズがあるんですよ。猫耳カチューシャ…とか」
「!」
それを聞いた途端車の速度が急に上がった。
同時にロックオンの顔も崩れた。
「ロックオン!急に速度を上げるな!」
「刹那が押し潰されんだろ!?」
後ろの座席から聞こえてくる抗議でアレルヤが振り向くと、刹那が急発進したせいで態勢を崩したティエリアとハレルヤに押し潰されていた。
「だ、大丈夫!?刹那っ」
「……これが、大丈夫に見えるか…」
刹那から殺気を感じる。
「あのー…刹那…さん?」
「…ちゃんと運転しろ、馬鹿ロック!!!!」
刹那に怒鳴られやっと車は安全運転になった。




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