家族パロ

□兄貴の災難
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ピピピピ……

「……んー…?」

枕元にある目覚ましで目が覚める。

…六時半。

まだふかふかの布団で眠っていたい…とは思うものの、朝はそんなにのんびりしていられない。

それに大分寝すぎた。

一階に降りるとアレルヤが自分の代わりに朝ごはんを作っていた。

彼はこちらに気づいて少し微笑む。

「おはようございます、起きたんですね。」

「おはよう。…二人は?」

「まだ寝てるよ」

いつもなら起きている一人も、今日は珍しくまだ寝てるらしい。

「…じゃ、起こしてくるわ」

一言言ってまた二階に上がった。


「許可無く入るな」と書いてあるプレートの部屋のドアをバーン!という効果音が似合いそうなくらい勢いよく開ける。

「ティエリアー!
起きろーっ」

「…煩い、近所迷惑だ。
それに俺は起きている」

既に起きていたティエリアは不機嫌で返してきた。

にしても兄に向かって煩い、って……

「あのなぁ。
俺はお前が起きてこないら起こしに来たの。
そういう言い方は無いだろ?
もうちょっと年相応に可愛らしく「おはよう(音符)」とか言えないのかよ」

主に最後ら辺でティエリアが変な顔をした。

「…のロリコン……」

「…ん?なんか言ったか?」

はぁ、とため息をつくと見下した目で言った。

「………オハヨウ。
…これで十分か?」

(おっ、驚く程可愛げがない…!)

「…もう用は済んだだろう、少ししたら下に行くから出ていけ」

そう言って部屋の外に蹴り飛ばされた。

「……昔はもっと可愛げがあったのになぁ…」

とりあえず問題児を起こしに行くことにする。

「せーつなぁー、起きろーーーっておわッ!?」

ドアを開けて目に入ったのは年相応の顔をしてすやすやと眠る刹那。

大事そうにエクシアを抱き抱え、何故かちぢこまった形で寝ている。

(なっ…、なんだこの可愛い寝方は!)

思わず観察してしまう。

いつもはなかなか見れない姿に和む。

(これで「ロックオン(はぁと)」とか言ったりなんかしたら…………!)

などと変態が間近で見てることを刹那が知るはずもない。

「……んっ…エクシア……俺も…すき…」

「!?」

(エクシア!?
…って刹那が抱いてるガンプラのことだよな?
俺もすきって…せっちゃん一体どんな夢見ちゃってるの!?)

「起きろ刹那っ!」

刹那を揺すると眠たそうに目を開けた。

「………………」

「刹那、起きろ。
もうそろそろ七時だぞ?」

「…………………ん」

ふわっと良い香りがした。

それと同時にずしっと胸に刹那が倒れ込んだ。

「………眠い……」

「眠いのはわかるけどな?
ルールは守らなきゃ駄目だろ?」

寝させてあげたいけれど、この家には家族内ルールがいくつか存在するのだ。

そのひとつが「休日でも平日と同じ時間に起床すること」だ。

休みだからと言って夜更かししないように…とつけたらしいのだが、刹那には関係無かった。

「…お前昨日も遅くまで起きてただろ」

「………………」

こくん、と無言で頷く。

刹那は大のガンダム好きで、休日にはよくガンプラを組み立てているのだ。

「…夜更かしばっかしてると、背ぇ伸びないぞ」

ボソッ小さくと言ったのだが聞こえていたらしく、ぺしっと頭を叩かれた。

「……眠たいから寝る」

そう言って刹那は再び眠りについた。

「…ったく、こんな無防備で…いつか襲っちまうぞ?」

自分自身の冗談でくすりと笑い、刹那を優しく抱き締めた。


そこへ。

「刹那起きた?」

アレルヤとティエリアが入って来た。

抱き合っているのを見て勘違いしたらしい。

「ごめんっ
お邪魔だったね…っ!」

アレルヤが真っ赤になって部屋から出ていった。

「おい」

ティエリアが鋭い眼光で睨む。

「刹那に何をしている」

「別に何も…」

「いかがわしいことなどしてないだろうな」

ティエリアが物凄い表情になっている。

「何言ってんだ、俺達兄弟だぞ?」

「貴方ならやりかねない」

おいおいお前の中の俺はどんなだ。

「刹那に何かあったら後ろから撃つ」

そう言って最後にキッと睨むと部屋から出ていった。

「俺、そういう所は信用無いんだな…」

今更ながら実感した。


一時間くらいして刹那が起きた。

「………ろっくおん?」

「ん?おはよう刹那」

可愛い弟に朝の挨拶と共ににっこりと笑いかけてやる。

「……………」

自分の状況を確認し、

べしっ

とロックオンの手を払いのけた。

「俺に触れるな」

(ひ、酷い!刹那が抱きついて来たのに…っ!)

「ティエリアに報告してくる」

刹那がティエリアの部屋に向かおうとドアノブに手をかける。

「やっ、まて刹那!ティエリアだけは―…」

慌てて止めようとしたが、もう遅かった。

「俺がどうかしたか?」

開いた扉の前にはもう既にティエリアが立っていた。

「…ティ…エリア…」

ロックオンはさっきのティエリアとの会話を思い出して冷や汗をかく。

「起きたらロックが俺に抱きついてきた」

刹那がさらりとティエリアに告げた。

「何か変なことはされなかったか?」

「……わからない」

実際に何にもしてないのだから答えられるわけがない………

…のだが。

「…でもされたのかもしれない」

え?

一瞬時が止まった。

そしてすぐに戻り、部屋にピシッと冷気を感じた。

「…ロックオン……あれだけ刹那に手を出すなと言っておいたのに……。
万死に値するっ!」

ティエリアが分厚い辞書をぶんぶん振り回してこちらに向かってくる。

「おっ…おい待て!ちょっと落ち着けってティエリア!……ってぉわっ!?」

本の角が当たる寸前で避ける。

「俺は何にもしてないって…!
刹那も゙かもしれない゙だけだろ!?」

「かもしれないと言うのは可能性があると言うことだ。
少しでも可能性があるならば俺は実行する」

ティエリアの目付きが変わる。

目標を捉え、思いっきり本を振り落とす。

ガツン!と鈍い音がしてロックオンが倒れる。

頭に本の角という兵器がヒットしたのだ。

「よし、これで安心だ。
ご飯食べに行くぞ、刹那」

「ああ、わかった」

そう言って二人は部屋から出ていった。


「…なん…で刹那には、優し……」


それが部屋を去った二人に言い残した言葉だった。



このおかげで刹那とティエリアの間に「ロックオンに何かされたら報告しろ」と約束されているのを知る。


…………俺ってそんなに信用無いの?






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