連載
□a life without taking・・・
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些細なことで喧嘩して…俺はその場に居ることができなくて逃げるように外に出た。
「あきら…っ!!」
背後からシグルドの叫ぶ声が聞こえたが、そんなものにいちいち反応出来ないくらい頭にきていたんだろう…
「もういい、シグルドなんか知らないっ!!」
少し涙目だったのに気付いたのか、シグルドの足が止まる。
何か言おうと必死に言葉を探しているシグルドをその場に残して、晃は広場の方に走り出した。
「あれ?晃じゃん!お前1人で何やってんだよ」
裏路地にさしかかった時に明るい声に呼び止められる。
「イヴァン…」
「どうしたんだ?何か悪いモンでも食ったのか?」
少し腫れた目を見て、気を使って当たり障りのない言葉を選んだ。
「お前じゃないんだから拾い食いなんてしないよ」
少しだけ気分が晴れたのか、晃はニヤリと笑う。
「しっかし…もうすぐ夕方だぜ?こんな時間にこっちまで来たら、また煩い司祭様やら堅物騎士様にどやされんじゃねーの?」
多少の嫌みを込めて告げれば、司祭と騎士のどちらかに反応したであろう晃の顔がみるみる青ざめるのがわかった。
「わりぃ…」
バツの悪そうな声を出せば、晃は何も言わずにイヴァンの横をすり抜けて城の方へと走っていってしまった。
「どうしたんだアイツ…」
明らかに態度がおかしかった晃を見送ることしか出来なかったイヴァンは、モヤモヤが残りつつもアジトへと帰っていった。
トボトボと当てもなく道を歩いていると、イーヴリンの屋敷前でセルゲイが煙草をふかしているのが見えた。
「おっ、ボウズじゃねーか」
ヒラヒラと手を振るセルゲイに晃は少し笑みを浮かべた。
「こんな時間にどうした?」
1人で歩く晃にセルゲイは訝しげな顔を向ける。
「ちょっとね…気分転換。セルゲイこそ仕事サボって何やってんだよ」
「アホ。庭ん中で煙草なんか吸ってみろ。花に悪いとか庭が汚れるとか言われてうちの姫様が怒んだろーが…」
大袈裟にため息をつくセルゲイに晃は思わず笑ってしまう。
「そうだぜ…お前に辛気臭い顔は似合わねぇよ」
くしゃくしゃと髪を撫でてやれば、少し切なそうな顔で笑うからセルゲイは拍子抜けしてしまう。
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