Longstory
□君のぬくもり
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あの満月の夜から1週間。俺はエリダラーダに残ることに決めた。
その理由は…俺に心からスエアを誓ってくれたシグルドの為だ。
first
―ぎこちなく、手を繋いで―
の、筈なんだけど……
あの7日目の夜に抱きつかれて以来、シグルドが俺に触れてくる事は1度もなかった。(頭撫でたりはあっても)
毎日教会に迎えに来てくれるし、1日1回は必ず甘い言葉も貰う(かなり恥ずかしい…)
今の状況に満足してないワケじゃないけど、今一つ「何か」が足りない。コレは俺のワガママなの?
「俺…本当に好かれてんのかな…(泣)」
元気が取り柄の俺だって、いくらなんでも切なくなってしまう。
本当なら手…くらい繋ぎたいんだけどなぁ……。
そんな事を考えていると、今日も9時ピッタリにシグルドが迎えに来る。
「おい晃、いるか?」
だいぶクラウスとの確執もなくなったのか、シグルドはズンズンと教会の俺の部屋に入ってくる。
「おはよシグ、準備はできてるよ。今日はどこに行くんだ?」
最近はエリダラーダ観光よろしく、シグルドは自分の公務の合間を縫って俺を色々な所へと連れていってくれる。
そんなささやかな時間が結構好きだったり…。
って俺!最近乙女モードなのかなぁ…。
「今日は町外れの史跡跡に行こうと思う。国の重要文化財だ」
優しく微笑みながらシグルドの大きな手が晃の頭を撫でる。
「子ども扱いすんなよなー」
ムスッと膨れてみれば、シグルドは小さく肩を震わせて笑っている。エマが作ってくれたお弁当を持って外に出ると、シグルドが馬を引いて待っていてくれた。
「スゲー!!俺乗馬初めて!!」
馬を見て無邪気にはしゃぐ姿に、シグルドはやっぱりまだ子どもだ…と思うが、ここで機嫌を損ねると後が怖いので心に留めておく。
一方晃はと言うと、2人で乗馬すればシグルドにくっつける!と内心嬉しくて仕方なかった。
しかし………。