Shortstory
□☆White Day☆
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肌を撫でる風も暖かみを増してきた昼下がり、晃は1人店の前で迷っていた。
本日は日本で言うホワイトデー。
エリダラーダでは今日までの一週間を『創始七日』と呼び、この世界がアダムによって創られたとされる七日間の週に、男性は自分が最も大切に想う相手へ変わらぬ愛を捧げ、心をこめた贈り物を贈る習わしがあるのだとクラウスから聞いていた。
本来なら宗教色の強かったものらしいが、いつの間にか大衆化されて、この週に想いを告げると結ばれるだとか色々な都市伝説的な話も一人歩きしているようだった。
「下手に…お返しできないじゃん」
晃はちょうど1ヶ月前に、色々な人からコチョを貰っていた。
ついつい日本のつもりでお返しを贈る予定だったが、こんな言い伝えがあっては迂闊にお返しを贈ることが出来ないのも事実で…
「エマとかにお返ししたいんだけどな…」
きっと素直なエマの事だ。真っ赤になってしまうに違いない。
かと言って、他の男性陣なんかに贈った日には…その後の自分の身が恐ろしくて考えたくもない。
しかし…晃はバレンタインに1人だけ自ら贈っていたのだ。
もちろん、こっちのホワイトデーにこんな習慣があるなんて知らずに。