Shortstory
□HAPPY Valentine
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「2/14日かぁ…」
晃はカレンダーと絶賛にらめっこ中。こちらの世界にもバレンタインらしきものがあるらしく、一般的には女性から男性へ『コチョ』を贈る習慣があるようだ。
晃も一応コチョの材料は揃えてみたものの、なにせ家事経験が無いので困っているのだ。
「一応…溶かして固めれば、らしくなるよ…な?」
パキパキとコチョを割り、ボールに入れてお湯で温めてみる。
程良く溶けた所で、晃は肝心の容器を用意していないことに気付く。
「あ〜…どこで固めればいいんだよ…」
コチョの入ったボールを持ったまま、キッチンをうろうろしているとふいに背後に人の気配が……
「プ〜リちゃんっ!!」
「うわあぁっ!!!!」
ガッシャーン
急に背後からレナートに抱きつかれた晃は、持っていたコチョを豪快にひっくり返してしまった。
「バカレナっ!!これどーすんだよぉ…」
顔や手に付いてしまったコチョを拭いながら、晃はレナートを睨み上げる。
「ソーリーハニー…。これは俺のためのコチョかな?」
レナートは晃の手を掴むとコチョの付いた指をそのまま口に含む。
「ば…っ!!やめろって!!」
「晃…ソー、スウィートだな」
ニヤリと笑いながらコチョを丁寧に舐め取っていく。
「も…やめろって……っ」
むず痒い感触に体が熱くなる。
「OK…顔のコチョはアッチで綺麗にしてやるよ」
そう言うとレナートは晃を抱き上げズンズンと寝室へ歩いていく。
「変態!!俺絶対許してないからっ!!」
「はいはい、暴れない暴れない♪」
晃の訴え虚しく、そのまま夕飯まで離してもらえなかった…。
→アトガキ