Shortstory

□甘えんぼ。
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「んふふ〜☆スッチー天才です!これは早速試してみなくてはいけませんねぇ〜☆」


不気味な屋敷に響く嬉しそうな笑い声。
その手の中にはなにやら怪しい液体が…

「待ってて下さいね〜。あなたのスッチーが参りますっ☆」


そう告げるとスティラルカは屋敷を後にした。




良く晴れたとある昼下がり。晃は教会の中庭でうとうとと微睡んでいた。膝の上には猫姿のリスルゥ。柔らかな晃の髪が日の光に透けてキラキラと光っている。


「晃さんよく眠ってらっしゃいますね〜」

お昼を作りながらエマが微笑む。人数分取り分けていると、クラウスの呼ぶ声が聞こえてその声の方に走っていく。

「は〜い!ただいま!」

パタパタと走る後ろ姿を見送ってから、にゅっと空間を歪めて壁から腕が出てくる。その手には不思議な色の液体が光る…

手は晃のお皿を見つけると、ゆっくりと液体を垂らしてまた壁の中に吸い込まれていった。

「おかしいです…クラウス様がいらっしゃいませんでした」

不思議そうな顔をしてエマが戻ってくる。

「ご飯になれば皆さん戻ってきますよね…」

少し笑ってため息をつきながらエマは昼食を食堂へと運ぶ。
まさか晃の料理に異変があるとも気付かずに…


「ご飯ですよ〜!!」

エマの明るい声が食堂に響く。
中庭に居た晃をリスルゥが必死に起こして連れてくるのが見えてエマはまた可愛い笑顔を向ける。
そこにクラウスも加わり、いつもと同じ昼食の風景が広がる。

「エマ、このスープ美味しいよ!」

「嬉しいです。おかわりたくさんありますから食べて下さいね?」
ニコニコと食事をたいらげていく晃を嬉しそうに見つめるエマ。

「晃君が美味しそうに食べる姿は、いつ見ても健康的でいいですね〜」

クラウスものんびりと食事を取りながら、微笑ましい様子に目を細めている。


「あれ…なんか眠くなってきた?食べすぎたのかなぁ」

ふわわと欠伸をしながら目を擦る晃に、クラウスが優しく手の述べる。

「晃君…眠いなら寝室にお連れしますよ?」

「ん…」

コツンとクラウスに寄りかかると、きゅっと服の裾を掴む。
そんな珍しく甘えるような仕草にクラウスは不覚にもドキッとしてしまう。

「ほ、ほら!!眠いんですね?」

自分に言い聞かせるように晃を抱き寄せ部屋へと連れて行く。
ゆっくりとベッドに座らせれば、満面の笑みでありがとうとお礼を言われクラウスは変に照れてしまう。
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