戯言仮4

□夏は世界に優しくない
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家電量販店からの帰り道、岡野の車内。
「意味わかんねぇ」
「まぁまぁ別所、頑張れ」
「岡野は人事だからいいよな。それ降ろして任務終了だろ。残れ、馬鹿」
「残るわけなかろうに。帰って漫画読みます」
「死ね、殺す」
「とか言って、お前、これ終わったら誰かやりに行くんじゃろ」
「真っ直ぐ家帰って、お前に攻撃を仕掛ける。きっと窓から包丁が飛んで来るよ。待ってろ」
「おー、恐いのぉ。じゃ満喫行くけぇね」
「満喫にいる奴皆殺し」
「わしと直之さんの腕は二本ずつで御座います」
「こいつはこいつで欠伸してるしさぁ」
「それはどうかとわしも思うわ」
「何だ?私の悪口か」
「うっせぇ。熱中症で死にやがれ」



某路地前
「てか、重くない?」
「言葉にするなって。余計重くなっとるじゃろうが」
「頑張れ頑張れー!」
「ちょっと根府川さん黙ってて」
「暑い、岡野、死ぬ。俺、死んじゃうよ」
「今、死んでもらっちゃ困る」


岡野、帰宅。
別所、彼女の部屋に入り、取り掛かる。
「俺がっ、昔っ、こういうのっ、バイトっ、してたっ、からっ、って、お前っ、死ねっ」
「9つに分割だな。そんなに辛いのか?」
「あっちぃんだよ、ばかぁ!!」
「団扇で扇いだげる」
「……あのねぇ、生温い風がこう、首元に送られてきて、気持ちいいって感じると思う?」
「思わんな」
「氷とかくれよ。冷えピタでもいいよ」
「それで、思い出したぞ!動物達が生きてるか見てくる」
「……まじ暑い。…ネジネジネジは何処ー。この部屋あついー。さうなー」


数時間後
「お、点いた!」
「俺がやったから点くに決まってる」
「なんか飲むか?」
「酒」
「ウォッカしかない」
「喉死ぬわ。声枯れるわ」
「あ、ちょっと待て………プレミアムモルツ発見」
「くれ」
「よかったな、地味に冷えてる」
「軽く脱水症状起こしてるの、汗やばいの」


段ボールやゴミを2階から下に投げ捨て、別所、帰る。
彼女、服を脱ぐ。
「やったな、兎達!と猿!クーラーだぞ。冷房だぞ。涼しいな!…寒いな。布団布団」


そう遠くない東京。
「あ、別所やん。何しとるの」
「え、クーラーの工事してた。ちょっと付き合ってよ」
「何処に」
「どっかの温泉と暇潰しに。調度高橋も道具持ってる事だし」
「じゃ暇潰しした後、温泉行こ。俺も腰が痛い」
「歳だな」
「いやいやいやいやいや、歳ちゃうわ。全部別所の所為や」
「その後岡野の部屋に乱入な。恨み晴らしてやる。スカイハイ!!!!」
「…別所、元気やな」
「あいつのパソコンのデータ全部消してやる」



そう遠くない、東京。圧縮された、東京。エゴの塊に、東京。地球に優しくない、東京。






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