戯言仮2
□連〜品川編〜
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「品川で降ろすから」
見つけたのは、あなたの無表情な顔だけ
連〜品川編〜
東京は真夜中でも、車がいなくなる場所は少ない
それは同じく、早朝は早朝で、湾岸沿いはトラックが必然的に多くなる
しかし、あくまで海の方だが
普段より数が少ない車を追い抜かし、目的地はドンドン近くなっている
あなたが、首都高の方を選んでいたなら、少しだけ一緒にいる時間か長くなっていたかもしれない
人間は過去に戻りたがるものだ
「品川まで行ってやるから」
その後、あなたが品川埠頭に向かうため。知ってるんだから
西口に降ろして、消えてしまうのでしょう
私からも、東京からも、
世の中からも…
品川駅で降りて、私はどうすればいいのよ
新幹線でも乗り、遠くに行って、あなたを忘れろっていうの?
山手線に乗って、誰かに拾ってもらえっていうの?
「ねぇ…」
東京タワーを右にしながら車を走らせる彼の眼には、私は映っていないようだった
ただ、無駄に広くなった「日比谷通り」を見てるだけ
こんな時に限り、赤は無く、進めばっか
信号でさえ、彼を急かしているようで
為されるままに座っている私も、外から見れば、同じく彼を急がせているのだろう
もう、着く……
あがける時間は、残り数十秒
『私も連れてって』
驚いたあなたの顔を初めて見た