戯言仮
□7月3日の夢
1ページ/1ページ
なんだかわからないけど、人が死んだ
自然と涙が出てきて、恥ずかしくなった
……いいや、そう思うのはなぜか死んでしまったこの人に失礼だ
人の死は悲しいものだ。悲しいものを泣いて何が悪い
ただ突っ立ってちゃ、意味が無い。ダメだ
僕は人をかきわけ、死んだ人を目の前にした
手を合わせた。ただ無心に手を
僕は何も悪いことはしていない。だけど、手は合わせられなくなった
誰かが怒っている
僕は何も悪いことはしていない。だけど、手は合わせられなくなった
よく見ると怒っている人は僕と違った
なぜか、違う。上から下まで虹色の布を纏っている
おかしい
…いいや、そう思うのはこの怒っている人に失礼だ
人は違うんだから、同じでは決してない
僕はもう一回、手を合わせた
僕は何も悪いことはしていない。寧ろいいことをしているはずなのに
髪の毛を引っ張られた。虹色が増えてた
僕は何も悪いことはしていない。だけど、手は合わせられなくなった
僕はそこに、死んでしまった人の前にいられなくなった
僕は何も悪いことはしていない。だけど、手を合わせることができなかった