戯言仮2

□紅花と酒
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は綺麗です

も綺麗です

街の光も綺麗です




あなただけが消え失せて

私は独りで、酒を飲むのです



ベランダに椅子と机を出して、ゆっくり座る私をあなたは受け止めてくれたのでしょうか

お酒越しに見る、夜の時間は

揺れて、迷って、探して、ゆっくり流れました




一緒に歩いた道を忘れません

名などない、小道でしたが、

手を握った感覚を忘れません

一日の行動の、たった一つでしたが




頭を撫でて、消えたのを覚えています

お酒の気泡のように、すぐにいなくなってしまいました





凌霄花が月に伸びます

私もあなたに背伸びします





私が思い出せなくなる前に

優しい声が聞きたいのです

柔らかい笑顔が見たいのです

温かい肌を感じたいのです




独りよがりな私に、嘘を言ってください




月は冷たい視線を浴びせます

赤い花は、それでも空に




あの時は買い物帰りだったでしょうか

二人でまた笑えたらいいですね




酒を零した私を

あなた

消えたのを

見て

続くって、言って





また笑います

あの時みたいに

一緒にお酒が飲みたいですね







机に突っ伏して泣いたのは、花しか知らなくていいから





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