戯言仮2

□太陽がない部屋
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「この川の先に何があると思う?」

車で川に架かる大橋を渡っている時、君が俺に尋ねた

「海、東京湾」

別所さんが大好きな東京湾ね、と楽しそうに付け加えられる

君はその後川の下流を見て、何とも元気を無くしたのか

「赤く燃え上がる太陽があるんだよ」

今日は曇り空で時間的に下流の方角に太陽が見えるのかもしれないが、赤いとは対照的に黒い重い雲しか見えなかった

そんなやり取りをしていれうちに、もう俺らは川を渡り終え、渡って直ぐにある信号で停車

「…別所さん、お腹減った」

「適当にファミレスとか入るから、それまで待ってて」

何もなかったように話題を切り替えた君に全く違和感を抱かなかったのは、俺が君を愛してたからなのに

また、君は俺には眩しい笑顔で笑ってみせた









君が俺からいなくなった日、俺は東京湾に面している石油工場にいた

仕事が終わり、さぁ帰ろうというときに見えたのは、一筋の赤い線

その日もまた曇り空だったのにも関わらず、水平線ギリギリの所には雲がかかっておらず、そこから朝日が漏れ出している

工場の煙突とそこから出る煙がいい雰囲気を出していた



綺麗だ



久しぶりにそんな感情を持った






これからあの太陽は地球を回り、色んな場所を照らしていくのだろう

俺も君も










誰もいなくなった、俺の部屋には

隣にビルが建ってしまい


太陽を見ることが出来なくなってた





もう、俺の部屋には太陽は一生入ってこない

もう、君は俺には帰ってこない




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