戯言仮2

幸福献身論
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れかけの玩具はいらないの」



そう

知ってた


壊れてるって



泣いても、何も出てこないってことなんて、俺自身が身をもって経験してるはずなのに

涙が止まらなかった






幸福献身論』








「待って、置いていかないで…ねぇ……」

鍵は破棄、ドアは真っ白

全てを捧げてた、俺の全部



あんなに尽くして、こう酷い捨てられ方をしても、俺がまだあんたを忘れられないのは

まだ、好きだから



雨が降って来ても

あんたは傘を忘れて、びしょ濡れになってないかなとか

風が吹き荒れたら

コンタクトだから、目にゴミが入ったら痛いだろうなとか


中心はあんただった

だったら俺は、惑星


ん、いや違う


中心である恒星は俺で、あんたが惑星の方がしっくりくる

知ってるか?月は地球から年に何cmか離れていってるんだよ



惑星が消えた俺の気候は荒れに荒れまくり、超新星爆発を起こす勢い

あー、ベッドの隣に誰もいなくなってか随分

上に見えるのは天じゃなく、打ちっぱなしのコンクリだけ




そこに見えるネクタイも

食べかけのコンビニ弁当も

茜色に染まる空も

河原に咲く彼岸花も


アルカロイドも……







パキッ







今、完全に壊れた

瓶の中は空っぽ


よし、リサイクルされよう

そして逢いにいこう



リフレインしてる言葉はあんた自身に言ってたって、俺は知らなかった







先に崩れたのはあんた

後に破れたのは俺











軽快に


パキッ





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