戯言仮

□忘〜砂町編〜
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どうも、布団から出る気がしない

寒いから

窓から見えるのは、灰色の街と煙突から出る煙だけ




〜砂町編〜





私の記憶によれば、この雨はさっき降り出した

きっと葉っぱは溶けてしまう

日曜の雨の日ほど、人がいない時はない

絶対人っ子一人、傘を片手に遊んでるやつはいない



洗濯物も干したいのに、部屋も片付けたいのに

雨に気力を奪われた



寒い

さらに布団を上まで持ってくる



枕元にあるオーディオには何のCDが入ってるんだっけ

大音量でヘビィメタルが耳を貫く

左腕を布団から伸ばし、すぐに停止ボタン



突然、また大音量

自分の携帯から


少しウキウキしながら新着メールを押すと

どっかのクーポン

待受に戻すと金魚



寝ようかな

全部雨のせいにして、私は悪くない



後もう少しで堕ちたのに

また音



メールだろうし、後で確認しよう



『留守番電話サービスに接続します』



機械の声はヒトの声には勝てないよ



『あ…マンションの前にいるんだけどな…』



聞き覚えのある声

どこのマンションよ。ここはマンションの街よ

忘れてた。雨のせいで忘れられてたあなた




すぐさま、ベッドから飛び降り、携帯を乱暴に開く










悪気はないの、
全部、私のやる気を無くさせた雨とこの街が悪いの




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