戯言仮

□鉄屑ロンリネス
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僕がいなくたって、世界は滞りなく進む。何も変わらない。明日も昨日も今日も、変わる事なく回り続ける。

鉄屑ロンリネス



少年はあるゴミの山から針金のような細長い鉄屑を一つ、家に持って帰ってしまいました。
しかし、少年はゴミの山の管理人から何も言われませんでした。怒られませんでした。気付かれてもいませんでした。少年はいない存在でした。


僕を呼ぶ君の声が遥か遠くに聞こえる。いや、もしかしたら僕の耳の中だけで鳴っている幻聴なのだろうか。
どうせ、すぐに忘れるから。
どうせ、すぐに忘れられるのだから。

君の悲しさも、淋しさも、世界という大きな括りで見ると、唯の一つの感情に過ぎない。朽ちて、無くなっていく物。僕たちという余りにも小さい存在は何処からも相手はされない。
泣く必要なんて、ない。世界は感情を持たずに進行していくものだ。僕がいなくなり、何が困る?三日もすれば、全て忘れてしまうだろう。僕がいなくても君の生活は無くならない。

誰かいい人が君を見つけてくれるから。こんな途中で放り出すような男より、ずっと、君を愛してくれる人間がいるかもしれないし、いないかもしれない。
忘れることは、とても簡単だから。
君がいなくなったとしても、僕の生活は回る。


ほら、少年も鉄屑の存在、忘れた。




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