戯言仮2

□会話
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「雪降らないかな」
「さぁ、じゃけど寒いけぇ。ここは湯気で暑いけど」
「家鴨くんは雪降ったら嬉しい?」
「車が飛ばせん。嫌」
「嘘だぁ、腹黒くんから聞いたよ。家鴨はロマンチストだって」
「一体鈴木はわしの何処を見て『ロマン』を感じたのか…」
「雪の港が見える丘公園とかロマンティックじゃない?」
「じゃったら外人墓地だっていい雰囲気醸し出しとるじゃろ」
「そういえば私中華街行った事ないや」
「タピオカ美味いよ。タピオカミルクティー」
「スタバのフラペチーノより?」
「それは好みじゃろ」
「家鴨くんはどっちなのよ?」
「……スタバ」
「よし、大好き」
「中華街といえば中国マフィアじゃの。最近タイマフィアと仲悪いけど、歌舞伎町の島はどっちがでかいんじゃろなぁ」
「知ってるけど教えてやんない。きっとそのくらいは調べればあっという間に集まるさ」
「摘発もね、したいんだけどね」
「大人の事情ってやつか」
「署長がさぁ、つるんでて」
「それも知ってた。そうそう、渋谷に新しいソープが出来たよ。まぁイメクラだけど、評判はいいらしいよ。はい」
「はいって、優待券かい。行かんわ、忙しい。行きたいけど」
「って言ってさ、彼女とかいるんじゃない?」
「おらんよ。半年前にふった」
「あらー、家鴨なんかにふられた女の子可哀相ー」
「煩いのぉ、黙っちょれ」
「だったら家鴨くんが私の庭から出てきなさいよ」
「……暖かいから、いる」
「まぁいいけど」
「…………最近疲れた」
「私だって疲れたよ。組の情報の出入りが激しくて近々抗争が起きるから、寝る暇無しよ」
「お前は中立じゃけぇね」
「中立じゃないと殺されちゃうもんね。中立でも暗殺を幾度とされそうになったわ」
「もしかして結構強いん??顔が銃刀法違反って感じじゃし」
「……教えないよーだ。しかも顔がって意味がわからん」
「でもさー刀ってカッコイイよね。日本ですって感じがいい」
「わかるよ。刀振り回したいもん」
「剣道とか警察にあるんよね。面白いっちゃ面白いけど」
「私も剣道は結構凄いよ」
「まぁ、剣道出来そうな顔じゃけ」
「また顔かい」
「話変わるんじゃけど、ガーベラの花言葉って知っとる?」
「神秘でしょ?何でよ」
「あの最近、署の女の子達が花言葉にはまってるらしくて、何でもかんでも花の名前に置き換えるから会話が意味わからんって」
「あー、花言葉と神話はみんな好きだからね。ローマ神話のサトゥルヌスって農耕の神なんだけどさ、その神様がやっちゃった事て何か知ってる?」
「いきなり神話??サトゥルヌスって聞いたことはあるんじゃけど…わからん」
「食ったんだよ」
「何を?」
「我が子を」
「…かにばりずむ?」
「まぁ、実際には『将来5人の息子に殺されるっていう恐怖から丸呑みにした』って伝承をモチーフにしてゴヤとルーベンスって人が絵にしただけなんだけど」
「芥川みたいじゃの」
「それがさ、印象深いのよ。一回は見たほうがいい」
「わしには人を食べる嗜好はわからんな。あるのはいい…よくはないけど、あるじゃろうし」
「世界にはどんな変態がいてもおかしくないからねぇ」
「………お前が変態じゃろ。ずっと裸族め」
「煩いなぁ」




「雪降ってる?」
「見てきてあげるけぇ」
「降ってたらいいなぁ」
「…そうじゃね」





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