The Prince of Tennis
□明日から、また。
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―――目を閉じるのが惜しい。
桜乃は、落ちそうになる瞼を必死に持ち上げていた。
ほんの少しの明かりを残したいつもの部屋、広いベッド、シルクのシーツ、優しい腕。
このまどろみの中で眠ったならきっと気持ちいい。
だけど眠ってしまいたくない。
すやすやと隣で寝息をたてる、少しあどけないような寝顔。
普段は人をくったような意地の悪いのがスタンスの彼だから、余計に―――可愛い。
口に出したら怒られるかなぁ、と桜乃は口元を綻ばせた。
見上げればすぐ近くに、顎のライン。
伏せたまつ毛の長い事も、はっきりとよく分かる。
子供のように眠りが深いことも、シーツを抱き込んで眠るクセも、彼と共に眠るようになって初めて知った。
わたしが隣にいる時は、わたしをシーツみたいに抱き込むことも。
「ん……。」
むずがるように一瞬顔をしかめた後、ギュッと腕の拘束が強まった。
――――あったかい。
胸の前に納めていた腕を彼の背中に伸ばして、さらにぴったりとくっついた。
普段なら絶対に恥ずかしくて出来ないけれど、彼が眠っているから今は特別。
「…おやすみなさい、リョーマ君。」
明日からまた、よろしくね。