The Prince of Tennis
□Far Away
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To:リョーマ君
Sub:桜乃です。
こんばんは、リョーマ君。
そっちは今頃お昼かな。
この間、おばあちゃんがリョーマ君の話をしていました。
まだまだだねって、ものまねするの。
ちょっと笑っちゃった(*^ω^*)
…春には一度帰って来るんだよね?楽しみにしています。
日本では風邪が流行ってるけど、リョーマ君も気をつけてね。
『送信完了しました』
画面に表示された文字を確認して、桜乃は携帯を閉じた。
リョーマがアメリカへ渡ってから、はじめての冬。
二人の間では、電話とメール、手紙だけのやりとりが続いていた。
しかしリョーマは忙しく、それらも桜乃からの一方通行になることが多い。
たまの返事も、1日や2日経ってから来るのだ。
きっとこのメールの返事も返ってこないんだろうなぁ、と桜乃は携帯を充電器へと戻した。
…こんな風に、わたしの心も充電できたらいいのに。
サイドボードのエアメールも、二人の距離を見せ付けられているようで少し悲しい。
どんどん、寂しさだけが募ってゆく。
会いたいなぁ、と呟いて、そんなのワガママだよね、と言い聞かせる。
その度にまたひとつ寂しさが増えてゆく事に、桜乃は気付いていなかった。