半身浴には防水対策を

□―3話羊女 ―
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俺は昔からどっか他人との距離が人より何倍か遠かった

人の他人との距離が平均100メートルだとすると
俺の距離はそうだな・・・1000ぐらい?

とにかく自分でいうのもなんだか遠い

なんか小さい頃あったわけじゃない

ただなんとなく距離ができてた

たぶんひとりでいるほうが楽だってことに気づいて

その楽なほうを選んだって言うだけだと思う

だから個人プレーのテニスは好きだし

昼寝も好き

結局俺は人と関わってめんどくさいことになるのがいやなだけなんだ

って気づいたのは
「芥田くんもう放課後だよ?」

「ん・・・・うん・・・」

こいつに出会ってからなんだ
「春樹!!帰るよ」

「・・・呼んでるよ・・・その・・・彼氏が・・」

「知らないの芥田くんあのどんまいな男の子は世の中ではストーカーって呼ばれてるんだよ?」

「・・・そう・・」

「そう」
そういって背中から綿毛でも飛びそうなぐらいにほわほわした笑顔で微笑むそいつは

俺のその他人との距離をものすごい速さで近づいてきて

俺の中の好きの部類に入る半径50メートルラインまで簡単に入ってきたんだ

俺の中の門番はなにをしてたんだか
ホントにすっと入ってきたんだ

「春樹ちゃん!!」

「ねぇー・・怒ってるよ・・先輩」

「いいよ怒らせとけば」
(・・・俺が困る・・・)

ニコニコニコニコって笑いながら俺に話しかけるもんだから

先輩の目線が俺にグサグサささって痛かった

「野村春樹ちゃん!!」

いうなればこいつは被害者であそこで怒っているのがその加害者の2年の名も知らない先輩

「・・・いいかげんさちゃんと話しつければ?」

「話しつくならつけてるよ」

「・・・あぁそうだね・・・」

図書館でもないのにコソコソはなしているのがなんだかむずがゆくうれしかった

いつもいつも
「芥田くん」

そういってちょっと高めの声でささやかれておきるのがどうにも気持ちよくて

こいつの横でいつも寝るようになった

正直最初は気に入らなかった
どんどんどんどんこいつが近づくたびに
俺のことが知られていくうちに

なんか俺の部屋が荒らされるみたいな感じ

でも正直
あの綿毛を飛ばすような笑顔にくらっときたっていうが射抜かれたって言うか

やれたわけだ

俺は
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