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□【小話バトン】
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◎このバトンは、日記で小話(小説)を書いてみようというバトンです。

物書きさんに回すのも良いし、絵描きさんにチャレンジしてもらうのも良いかも知れません。
回す人は、キャラクターの指定と、御題の出題をして下さい。

◎回す人⇒フリー
キャラクター⇒自由
お題『はじまり』








「好きです」


そっと呟いた言葉に返事はない。
場所は夕日が複雑な影を生み出している海南大附属高校のとある教室の一角
薄暗さが辺りを包み込んでいる為、誰にも顔は見えないだろうが多分赤くなっているだろうと自分で思った。


「好き、なんです……」


再度繰り返した告白は、またゆっくり大気に溶けてゆく。
それは相手に無視されたから、などではなく教室に声を発した者しかいないからだ。
自分に自信が持てないから本当に告白する気はない。
ただ、


「まき…くんが……」


ただ、たまに堪えきれなくなる想いを少しでも軽くしたくて。愛しげに好きな人の机に触れながら言葉を吐露したのだ。
応えなど、最初から期待していない。
そう。期待はしていない、はずだった。


「す…きっ……」
「えっ!?」


だからこそ不意に背後から聞こえた声に驚き、勢い良く振り返る。
そこには、
そこ、には…


「ままままきくんっ?!」


好きな人が目を丸くして立っていた。
思考が一瞬停止する。停止してしまう。
本当に目の前にいる、と完璧に理解するまで約十数秒
身体が一気に芯から沸騰した。
肌全てが真っ赤に染まる。
まぁ、既に教室が暗い為に色合いはわかりにくくなってはいたが。


「今の…」
「は、はいっ!」
「本当?」
「…ぇっ?!そっ、その!あのっ…!!」


その赤さに気付いているのかいないのか、強い輝きを放つ漆黒の瞳で見詰められる。
思わず見惚れてぼんやりとしてしまったが、ふっ、と我に返ればいつの間にか間合いを詰められていた。


「本当、なのか?」


軽く逞しい指で頬を撫でられる。
どう返せば良いのかわからなくて。ひたすら頭を上下させる事しか出来なかった。
が、それだけで気持ちがきちんと通じたのか、今まで見た事もない柔らかな笑みを浮べてくれる。


「ありがとう。凄く嬉しい」


その為に腰が砕けそうになったが、拳を握り締めてなんとか堪えきった。
手のひらに食い込む爪の痛さとドクドクと跳ねる鼓動が今が現実だ、と教えてくれていた。




秘めていた恋
表に出てしまったのは偶然で
けれど、
けれどそれが現の恋のはじまり
でもあった

























(牧。毎度お馴染み、最初考えていたのとずれていった話、です。
ん。意味不明ですみません(汗))





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初出し 2010/11/30 04:29


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