SD

□雨のち晴れ?
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「…で?どうなんだ?」


何かの呪いであるかの如く雨が降り頻る。
そう。まるで今現在泣いている自身の心中のように。
どうしようもないほど悲しみに震える心
薄暗い教室で何故三井と二人っきりになってしまったのだろうか…
後悔しても今更遅い。
後の祭り、だ。


「三井には教えないし教えたくない」
「なんで?」


いつもより小さくなってしまった声
けれど震えはしなかった事を自分で褒め称えても問題ないだろうと思う。


「なんでもへったくれもない」


だって好きな人から゙お前の事好きで付き合いたいって奴がいるんだけどお前は誰か好きな奴いるのか?゙と聞かれたのだ。
突慳貪な返事になっても仕方ない。


「…教えられないような男なのか?」
「は?」
「だからっ!他人には言えないような男が好きなのかっっ?!」
「イツッ!」


傷付いて自棄になって。
これ以上会話を続けないという意思表示にそっぽを向いていたせいで三井に右手首を強く掴まれた事に気付いたのは脳内に痛みが伝わった後だった。
振りほどきたくても力が強くて逃げ出せない。
そして、自身を見つめてくる強く激しい炎のような瞳に心が酷く乱れてしまう。


「み、三井には関係ないじゃないっ…!」
「うるせぇな!関係あんだよ!!」
「はぁ?!意味わかんない!!」
「なんでわかんねぇんだ?!」
「何も言われずにわかるわけないでしょっっ!!」


それでもなんとか口をきけたのは負けん気が強い自分らしいとふと他人事のように思った。
好きな人に好きだと言ってもらえるような可愛い女の子になりたいのに何故こうも可愛い気がないのか悲しくなる。


「チッ!本当に鈍いなお前はっ!!」
「あんた喧嘩売ってんの?!」
「違うわっ!好きだって言ってんだろーがっっ!!」
「好きって何をよ!」
「お前に決まってるだろっ!!」
「ぇっ?!誰が?」
「俺だっ!!」
「…あ゙えっ?!」


泣きそうになりながらも必死に噛み付いていたら不意に思いもかけない爆弾を投下された。
そのせいで変な音が口から出てしまったのだから三井にこちらを睨む権利はないと思う。


「…な、何言ってんの……?」
「どういう意味だ?」
「だっ、だって三井が好きじゃないから誰かに頼まれて私の好きな人いるか聞いてきたんじゃ……」


しどろもどろ
視線も話す言葉も内容も。
上手く脳が回転してないのか、とても正常な自分には戻れそうになかった。
だから、


「俺が誰かの使いっぱしりすると思うのか?」


だから、急に身体が熱を帯びてきて真っ赤に肌が染まってしまったのは絶対三井のせいだと責任を押し付けて。不機嫌そうな顔を見つめながら思考を放棄したのだった。















初出し 2010/06/16 04:18


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