SD
□ツンツン少女シリーズ
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ツンツン少女の涙の行方
・この胸の痛みは
→いつか消えるのだろうか?
「…三井……」
誰もいない放課後
夕日が差し込む教室でふっ、と何かに誘われたように好きな人の席に座った。
机の中には教科書が乱雑に突っ込まれていて。あまりの゙らしざに笑いが込み上げる。
けれど、
「っっ!」
けれど、不意に思い出したのは三井から齎されだ可愛くない゙の言葉
ドクンッ、と高鳴る鼓動に心臓が酷く苦しくなってゆく。
「三井の…莫迦っ……!!」
と同時にポトリッ、と落ちたのは透明な雫
痛くて悲しくて苦しくて。俯きながら胸部周辺の制服を強く握り締めた。
当たり前の事ではあるが、歪な皺が沢山寄ってゆく。
それはまるで壊れた自身の心のようで。思わず泣きながらもクツリッ、と歪んだ笑みが零れ落ちた。
「あれ…?お前人の机で何やってんだ?」
どれくらい経った頃だろうか。
急に聞き慣れた声がして。身体がビクッ、と跳ね上がる。
「…っておいっ!何泣いてんだ?!」
「なっ、泣いてないっっ!!」
「嘘吐くなよ」
「嘘なんかじゃ「どう見ても嘘だろうが。目紅いし潤んでるぞ?」
一生懸命今まで泣いていた事を誤魔化そうとしたけれど上手くいかなくて。いつの間にか頬に大きな手を添えられつつ真剣な瞳で顔を覗き込まれていた。
照れ臭くて恥ずかしくて。
「うっ!煩いっ!三井には関係な「煩いのはお前だ!」
いつものように虚勢を張ろうとすれば何故か三井に叱られる。
喧嘩している時とは違う雰囲気である為に戸惑って。思わず口籠りながらポカンッ、と整った男らしい顔を見つめてしまった。
そして、
「それにお前には関係なくても俺にはあんだよっっ!」
「ぇ…?三、井…?」
「お前が泣いてるのに一人に出来るわけねぇだろうが!!」
そして、齎された言葉の意味がわからなくて。軽く小首を傾げてしまう。
聞こえなかったわけではない。
ただ、言われた言葉を上手く脳内で処理出来なかっただけで。
「…なん…で……?」
「んぁ?」
「可愛くなくて嫌いな私の事なんて無視しとけば良いじゃない」
もう私の口からは力なく情けない声しか出て来ない。
三井は?といえば、何故か重々しいため息を吐き出していた。
「あのなぁ〜〜…」
「?」
「゙可愛くない゙なんて売り言葉に買い言葉だ!!」
「……ぇ…?」
「大体わざわざ嫌いな奴と話すわけねぇだろが」
呆れたような表情を浮べ、゙時間勿体ねぇだろ…゙と呟いた三井を呆然と見ているとまた涙腺が緩んできて。
「じゃぁ、私の事嫌いじゃないの?」
「嫌いじゃねぇ…っていうより気に入ってる」
「…ほんと…に……?」
「あぁ。お前ちゃんと俺の目見て話しかけてくるし、俺の下らない話でもきちんと聞いてくれてるだろ?それに口は悪いけど面倒見良いし…」
我慢しきれずに思わず泣き出してしまう。
「…って…えっ!?どーした?もしかして…もしかしなくても俺のせいか?!」
「ちがっ…違う…よ……」
「で、でもっ!」
心の中から込み上げる嬉しさと慌てたような三井の声が面白くて。泣きながらも笑ってしまった。
だからなのか…
「おぃ!」
「三井ありがとう」
「……へ…?」
珍しく感謝の言葉が素直に口から零れ落ちてゆく。
それを聞いた三井の驚いたような表情がとても間抜けで。私は先程までより唇が緩んでいくのをどうしても止められそうにないのだった。
恋する乙女は好きな人の言葉に一喜一憂
例え自分らしくなくても
それがきっど恋゙、なのだ……