SD
□乙女の悩み
1ページ/1ページ
・ん〜…とね…
→
「早くしろよ…」
「…だってぇ……」
悩みまくる私に寿は呆れた顔を見せた。
でも仕方がないと思わない?
両方捨てがたいんだからっ!!
「両方買えば良いじゃねぇか…」
「それは駄目!」
「なんでだよ……」
「だって…!」
「だって?」
「肥っちゃうじゃないっ!!」
「……………………………」
「でしょっ?!」
「……フゥ…」
私の言葉に今まで深い皺を眉間に寄せていた寿は諦めるように手で顔を押さえた。
「…仕方ねぇな……」
「莫迦にしてる?」
「今更だな…」
「どういう意味かな?三井さんちの寿君」
「別に」
ニッコリ笑顔で聞いてやったのに、寿は私に構う事なく今まで私が悩んでいた二品を持ってレジまで行った。
「何してんの?」
「見てわかんねぇか?両方買ったんだ」
「それはわかってる」
「なら良いだろ?……ほれ」
買ったやつを手渡されたけどサッパリ意味がわからない。
「……寿?」
「二つ共食べたいんだろ?」
「そうだけど…肥るから……」
「だから半分食え」
「……へ…?」
「残った分は俺が食う。なら良いだろ?」
「っっ!仕方ないな!」
ニヤリと笑う寿に胸が騒いで……
誤魔化す為に急いで買ってもらった袋を開いて中にあったミタラシダンゴを口に含んだ。
「素直じゃねぇな」
「煩いっ!!」
また素直ではない言葉が漏れたけど、クツクツと楽しそうに笑う寿には私の気持ちはバレバレのようで……
耳が熱くなってゆくのが嫌でもわかった。
(悩みの商品:ミタラシダンゴ&餡ダンゴ)