SD
□鈍い男に片思い…
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・憎らしいほど
→鈍い男!!
本当に腹が立つ!!
「赤木……うーん……木暮はちげぇよなぁ…」
「……………………………」
「まさか…流川かっ?!」
「……………………………」
「流川っ!流川だろ?」
謎が解けた子供のような笑顔を浮かべる三井をジットリと恨みがましい瞳で見つめてしまう私は絶対悪くない。
「……違う…」
「え゙?マジ?」
「……………………………」
「じゃあ…宮城かぁ……?」
ああっ!
怒鳴りつけてやりたいっ!!!
三年のバスケ部で赤点とる鈍い漢なんてあんた一人しかいないでしょっ!!
なんでわかんないの?
天然?わざと?
そんなことどっちでも良いけどイライラするっ!!
「……違う…」
「げっ!なら桜木だっ!桜木っ!!」
「……………………………」
もう私の口からは溜め息しか出そうにない。
泣き出しそうだ。
「もう…いい……」
逃げ出すように三井から離れようとすると、逞しい手に手首を掴まれた。
「気になるだろうがっ!結局誰が好きなんだよ?」
「知らないっ!!自分で考えなっ!莫迦三井っ!!あんたは一体何年生のつもりだ!!」
「はぁっ?誰が莫迦だっ?!俺は莫迦じゃねぇっ!!!」
「っっ!!あんたよっ!あんたっっ!!」
「んだとぉっっ?!」
「ふんっ!」
怒って緩んだ三井の手を振り払い、今度こそ三井の側から逃げ出す。
「おいっ?!逃げんなっ!!」
後ろから怒声が聞こえたような気がしたけど、そんなこともうどうでもよかった。
ああっ!なんで…!
なんで引っ掛かるのはどうでも良い単語ばかりなのっ?!
重要な単語ばかりスルーしてっっ!!
本当に…!
本当にばぁぁ〜かっ!!
でもそんな莫迦を嫌いになれない自分も莫迦みたい!!
流れ落ち始めた涙は暫く止まりそうになかった……