銀魂

□前
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「…ハッ!」


ザァーザァーと滝のように落ちてくる雨が地を、近藤を、刀を濡らす。
既に血は雨で洗い流されているにも関わらず、未だに生臭い香りが纏わりついてくる気がして。嘲笑を浮べながら近藤はゆっくりと瞳を閉じた。
否応無しに先程までの情景が頭の中でリプレイされる。

(これは俺が……)

縋るような瞳と言葉
上がる断末魔と血飛沫
香るアンモニア臭と鉄の匂い

(俺が自分で………)

どれだけ経っても忘れられない、忘れてはならない光景

(自分で選んだ道――…)

唇を一度キュッ、と噛み締めてから近藤は静かに、ゆっくり息を吐き出して。瞳を開けた。
音は雨に消されたが、大空に白いが靄が煙る。
そう。まるで切れない因縁のように。
そして、呪われた誓いのように。


「まだ…」


不意に掠れた声で、けれども確かに近藤の口から音が零れ落ちた。
強い意志を宿した言霊が、揺らがない決意を込めた願いが、


「俺はまだ立ってなきゃいけない」


暗い大空へと飲み込まれて霧散してゆく。
近藤はそれを全て喰い尽くしてしまいそうな獰猛な眼差しで見つめていた。




望みは多くない
けれど、
けれど、叶える為の道程は
誰よりも重くて酷く罪深い――…























(近。男前の近藤さんを書こうキャンペーン継続中。
そして、雨なので雨ネタです。
うひゃひゃ!相変らず意味不明です(笑))




初出し 2010-03-16 03:17

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