銀魂

□嘘
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「゙好ぎって言って下さい!」
「嫌です♪」
「嘘で良いですからぁぁ〜〜!!」
「嫌です♪」


暑苦しい顔で近付いて来た近藤を、妙は笑顔で一刀両断した。
2人が今いる場所は毎度お馴染み、スナッグすまいる゙である。


「お妙さぁぁ〜ぁん!」
「嫌です♪」


今日はエイプリルフール
嘘をついても良いと言われている日
本日非番であった近藤は早くから゙すまいる゙に来て、幾度となく妙に《嘘で良いから好きと言って下さい》と纏わりついているのであった。
勿論、瞳は全く笑っていないが笑顔を崩さない妙は直ぐさま拒絶していたが。


「お願いします!」
「嫌です♪つーかしつこいですよ?糞ゴリラ」


何時間にも及ぶ攻防
いい加減疲れてきた妙はさっさと近藤を酔い潰そうとしたのだが、こういう時ほど中々上手くいかない。
しんどくなって。ふっ、と溜め息混じりに近藤の顔から視線をあげた。
その視線の先、不意に見えた時計の針は12時3分を指していて。妙は少し、本当に少しだけ瞳を見開く。
そして、


「お妙さぁぁ「好きです」ぁん……って、えっ!?」


そして、また諦めきれずに口を開いた近藤の言葉を唐突に妙は遮った。
当たり前の事ではあるが、驚きのあまり近藤の瞳が丸く、大きくなってゆく。


「ちょっ、まっ、待って下さいっっ!!」
「………………………………」
「もももっ!もう1度っっ……!!!」


先程の言葉が聞き間違えではないか確かめたいのだろう。
焦り過ぎて吃りながらも近藤はジリジリと、けれど、確実に妙へと詰め寄っていた。


「嫌です♪」
「え゙っ…」
「嫌です♪」
「お願いします!もう1度!もう1度だけっっ!!今のよく聞き取れなかったんです!お妙さん!お妙さん!お妙さん!」


そんな近藤へ妙はにっこりと笑う。


「嫌だと言ってるでしょう?それ以上煩くするなら殺りますよ…?」
「ゔっ…」


そう。瞳は相変らず冷たいままで笑ったのであった。
あまりの迫力に近藤も思わず黙り込む。
けれど、


「ま、良いか…」


けれど、゙嘘だけど好きって言ってもらえたし…゙と呟きにやにやし出した近藤に妙はまた重い溜め息を吐き出した。


「私、嘘嫌いなんです」
「す、すみませんっ!わざわざ言わせてしまって……御礼…と言っては何ですが、お妙さんお好きなものを注文して下さい……」
「じゃ、ドンペリ頼みますね?」
「あ、はい……」
「すみませ〜ん!手始めにドンペリ3本お願いしま〜す♪」
「……ぇっ?えっっ!?さっ、3本…?!手始め!?」


その耳が紅く染まっている事に、焦りまくった近藤は全く気付かない、気付けないのだった。



゙好ぎなんて
正直には言えないけど
嘘としても言いたくない
本当に微妙で、
伝わりにくい純な乙女心……





















(近妙。実は近妙でツーパターンありまして…。今回はこちらで纏めました。もう一つのパターンはいつかアップしてる…かもしれません。
相変らず意味不明です(笑))



初出し 2010-04-02 03:29

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