銀魂
□演
1ページ/1ページ
「他の野郎の言葉で胸を痛めるな。心を折るな」
雲1つない青空が遠くまで広がっている1月のとある日
風は柔らかく吹き抜けていて。緑の草がさわさわと音を奏でているが河原はそこまで寒くない。
「不安になる暇なんかないほど俺が愛すから…」
澄んだ空気を発生させている緩やかに流れる川の音をバックミュージックにし、妙は固唾を呑んで近藤の言葉を聞いていた。
「だから俺だけを見て俺を信じて俺のために笑ってろ」
力強く輝く鋭い瞳は骨まで喰いつくしそうな熱を孕んでいて。高鳴り続ける鼓動は妙の胸を劈いてしまいそうである。
どんどんどんどん耳が熱くなってゆくのを、嫌でも妙は実感していた。
脳内は真っ白で。簡単な単語さえも浮かんで来そうにない。
「他の奴のせいで泣くことは許さない」
不意に伸びてきた大きな手が滑らかな白い頬をゆっくりと撫でた。
まるで全ての苦しみを拭うかのようにそのまま顔をジッと覗き込まれて。
「お妙さん…?顔真っ赤ですが大丈夫ですか?」
尋ねられた口調はいつもと同じだった。
眼差しも普段と変わらない優しく人懐こいもので。
「お妙さ、ん…?」
耳に響く声音も先程までより穏やかだ。
より近付いたせいか、ふわっ、と男らしい香りが薫って。細い身体がびくっと跳ね上がる。
「あの「ヒヤァッ…!」
そのまままるで瞬間移動したかの如く勢い良く近藤の手中から逃げ出していた。
取りあえず何かを言おうと妙は口を開閉させる。
だが、そこから音は出て来ない。
「お妙さん…?」
自身が近藤に今話題の月9ドラマの台詞を無理矢理言わせたにも関わらず、だ。
(莫迦にしてやる気だったのにっ…!!)
いつまでも温度を下げられない身体を自分でギュッと抱き締めつつ、妙は心配げに覗き込んでくる近藤の顔を瞳を泳がせながらも睨み付けたのだった。
ドラマで見た時よりドキドキしたなんて
絶対言ってやらないっっ!!
(近妙。格好良い近藤さんを少しでも登場させようキャンペーン継続中です(笑)
うひゃひゃ!相変わらず意味不明です)
初出し 2010-01-26 01:28
改訂 2012-09-02