銀魂

□夢
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「好きです」


ざわりっ、と風が吹き抜けて。妙の柔らかな髪を揺らした。
薫る香は儚くて切ない。


「好きなんです」


普段のようにニヤけた顔ではない真剣な顔
逸らす事なく見つめてくる近藤の瞳は、強い輝きを放っていて。急に煩く主張し始めた胸の鼓動を鎮めるように妙は着物の襟をしっかり握り締めていた。


「お妙さんが、好きなんです…」


その内、手中に溜りだした汗が気持ち悪くなって。妙の柳眉が寄る。


「お妙さん…」
「っっ?!」


少し、ほんの少しだけ近藤から意識が逸れた。
そう。それだけだったはずなのに。
妙はいつの間に間近に寄られ手をしっかりと握られていた。


「愛してます。俺だけを見て下さい」


近付いてくる粗削りだが意外に整った男らしい顔
唇が触れるか触れないか微妙な、距離。


ちょっ!心の準備くらいさせてっっーー!!


そこでやっと妙が動いた。
近藤の逞しい身体を出来る限りの力で押し退けたのだ。
すると、不思議な事に視界に乱れた上掛け布団が入って。


「………ぇ…?」


妙は驚きに瞳を見開いた。
先程まで外にいたはずなのに何故か布団の上で腕を前に押し出した格好で妙は固まっていたのである。


「あっ、姉上ぇぇっっっ?!大丈夫ですかぁぁっっっ?!」


遠くから叫びに似た声音を発しながらばたばたと自身に近付いてくる足音と襖窓の向こうから差し込む暖かな陽光、チュンチュンと可愛いらしく囀る雀の声を聞き…


「…もしかして……」


妙はある結論へと辿り着く。
(もしかしなくても…ゆ、め…?!)
更に見開かれる瞳
時間が止まったような気が、した。


「あっ、姉上っっ!どっ、どうかしたんですかっっ?!」
「なんでもないわ。新ちゃん」
「でも叫び声が…「ちょっと夢見が悪かっただけ♪」
「姉「新ちゃん?女性の寝室にむやみやたらに入ってくるものではないわよ…?」


実際に心配した新八が部屋に飛び込んで来るまで妙は動けずにいたのだが、その後の処理は流石と言うべきか、何と言うべきか。
有無を言わさない妙の笑みに気圧されて。


「わ、わかりました」


直ぐにすごすごと引き下がる新八
その背中を見送りながら妙は安堵の息を吐き出す。
だが、
(良かった…!誤魔化せた……)
だが、不意に頭の中で夢を嫌味なまでにリアルにリプレイされて。
(唇が触れ合うってどんな感じかな…)
妙の頬が真っ赤に染まってゆく。


「って!そんなの関係ないっ!触れ合えなくて残念とか全然思ってないんだからっっ!!」


そのまま直ぐに羞恥心がピークに達したのか、ぶんぶんと首を左右に振り続けながら誰もいないのに言い訳染みた言葉をただひたすら繰り返したのだった。
だから、その影響で今日も妙へストーカーに来た近藤がいつも以上に力一杯殴られ蹴られたのは言うまでもない事であろう。




さぁて!
゙夢は願望の現れ゙
などと言われますが
真偽の…、
真偽のほどは――…?




























(近妙+新。口説く格好良い近藤さんを書きたかっただけです。はい。すいません。
うひゃひゃ!相変わらず意味不明です(笑))



初出し 2009-12-21 03:37
改訂  2012-09-02

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