銀魂

□匙
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「姉上、お粥作って来ました!食欲なくても食べないと駄目ですよ」
「ありがと、新ちゃん…」


細い身体を、妙はゆっくりと起こす。
視界がぼやけていて。頭が万力に締め付けられているかの如く、凄く痛んだ。


「大丈夫ですか?」
「ん。大丈夫」
「そうは言いますが顔色悪いですよ?お妙さん」
「そうですよ!姉上……ってなんで当たり前のようにいるんですか!近藤さんっっ!!」
「何を言っているんだ新八君!俺の大切なマイラヴァーが寝込んでいるんだぞ?!今来なくていつ来いと言うんだっっっ!!!それは人間やめてゴリラになれって言ってるのと同意なんだぞっ?!」
「いや、意味わかんないですから!!マジでっっっ!!!」


そのせいで、自身の前で繰り広げられる争いに妙は上手く関われないでいた。
けれど、


「さぁお妙さんっ!薬を服用する為にもお粥食べましょうね♪」
「ちょっ、ちょっと近藤さんっ?!何で近藤さんがお粥食べてるんですかっっ?!」
「くひうつふ(口移し)」


けれど、頬にまだ形が若干残っている米粒をつけた近藤に顔を近付けられると我慢が出来なくなって。妙はもう決められた事のように右ストレートを打ち込む。
と同時に綺麗に吹っ飛ぶ近藤と口に含まれていたお粥
近藤はそのまま壁に激突し、背中を壁に預けたままズルズルと座り込んだ。
勿論意識はない。
お粥はまるで近藤の飛んだ軌跡を示すかのように綺麗な放物線を描いていた。
勿論汚い。


「新ちゃん…」
「……お粥、零れたのを片付けますね?」
「ありがと……私はまたゴリラが起きて邪魔しないうちに食べちゃうわね………」


良かったことは?と言えば、近藤が妙に顔を近付ける前に茶碗と匙をお盆に置いていた為に口に含まれた分以外は無事だった事だろう。
だからこそ、妙はお粥を食べた。
薬を服用する前に何か食べておかないと胃が荒れると注意を受けていたから…妙はきちんとお粥を食べた。


「お妙さんっ!間接キッスですね!!」
「っっっ?!」


そう。妙が食べ終えた後、それを見越していたかのように意識を取り戻した近藤のにこやかな笑みを見るまで先に近藤が匙を使用していた、なんて事は頭から抜け落ちていたから……


「グフフッ…!濃厚キッス!」


綺麗に匙を使い、妙はお粥を食べてしまったのだった。


「嬉しいです♪」


故に、気持ち悪いほど機嫌が良い近藤が再度殴られて足蹴にされるのはそれから十秒後の事――…

























(近妙。甘を書きたい→口移しとかなら甘になるか?(淡い期待)→普段ならお妙さんが口移しなどするか?(自問自答)→病人にしよう=食べ物はお粥→固形物とかならまだしもお粥の口移しって気持ち悪くない?
とか書きながら考えてたらなんだか全く甘くなくなりました。
うん。意味不明です(笑))




初出し 2009-09-25 05:31
改訂  2012-09-01

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