銀魂
□好
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「お妙さぁぁぁぁぁ…………ヘブッ!!」
今日も元気にストーカー…もとい愛の狩人である近藤は離れた位置にいた妙を目敏く見つけて走り寄る。
そうしてもう少しで触れる事が出来そうな位置に達した瞬間、妙の拳に吹き飛ばされた。
「ぉ、お妙さ…「あら…こんな所にゴリラが……早く動物園に連絡しなくちゃね」
にもかかわらず、懲りることなく近藤はよろめきながらも再度妙の側に近寄ってゆく。
やはり、というかなんというか…
笑顔は崩さないまま、額に青筋を浮かべる妙
ビシリッと彼女が手を添えていたコンクリートの建物が有り得ぬ音をたてた。
「あははは!相変わらずお妙さんはお綺麗ですねぇ♪」
「黙りなさい。ゴリラ」
鼻血を垂らしながらもヘラヘラと微笑む近藤
冷たい瞳で、しかし顔だけはにっこりと笑みがつくられている妙
そこまで多くはないが存在する通行人が不審げに2人を見ていた。
「お妙さん好きです♪」
だが、そんな事には頓着せずに近藤は自身の思いの丈を余す事なくぶつけようと試みる。
鬱陶しいまでの暑苦しい笑顔に、妙の眉間へ微かな皺が寄った。
「何処が?」
「……ぇ…?」
「いつも好きだ好きだとおっしゃるけど私の何処が好きなのですか?」
妙から重ねられた問い
険しい眼差しを投げ掛けられたが、近藤は逸すことなく見詰めかえした。
優しく温かいけれども譲れない強い芯が感じられる瞳
揺らがないそれに落ち着けなくて、自身の手を妙は強く握り締める。
汗ばむ掌が気持ち悪く、口元が若干歪んだ。
「お妙さんの何処が好きかって…それは〜〜」
「…それは……?」
「えっと〜〜」
「……………………………」
「…その〜〜」
「なんですかっ?!」
口を開いた途端近藤は照れ笑いを浮かべて後頭部を掻いた。
はっきりと言わない近藤に焦れてくる。
妙の柳眉が跳ね上がった。
「…綺麗ですね」
「は?」
「紅潮した頬…きらきら輝く澄んだ瞳が」
「…ぇ、ぇっ……?」
「綺麗ですね」
「っっ!」
だが、妙の怒りなどものともせず近藤は先程とは違う優しく柔らかく笑う。
徐々に、だが確実に妙の身体が紅く染まってゆく……
「な、何言って……」
「事実です」
「わ、私が聞いたのは何処が「好きかってことですよね?」
「そ、そうです!」
「や〜わかってるんですけど、なんだかお妙さんが神妙な顔されているので改めて言うの、恥ずかしくなっちゃっ……グフッ!!」
あっははと声高に笑い出した近藤に決ったのは妙の華麗な右ストレート
そして、強い足技で遠くまで吹っ飛ばした。
「……ぉ…ぉたぇさ……………」
誰かに何かを訴えかけられたような気がしたが、そのまま知らぬふりして歩み去る。
(《何処が好きか恥ずかしくて言えない》とか言うくせに怒った顔を《綺麗》とか…あんな表情で言うなんて……)
勿論振り返ることなどしない。
「……狡い…」
そんな妙の耳は羞恥心で紅黒く染まり、泣き出しそうに瞳は揺らいでいた。
そして、今にも口から飛び出そうな心臓を押さえ付けようと必死で唇を噛み締めていたのであった。
(近妙。意味不明(笑)
最初は物凄く臭い台詞を連発してもらおうかとも考えたのですが、違和感増の為却下しました!
そしたら…もう色々と駄目でした(・ω・;)
あはははは!)
初出し 2009-06-10 02:33
改訂 2012-08-29