SD

□距離【連載もどき・未完】
6ページ/6ページ





5話



「あっ、」


入る、と思った。
ボールが、バスケットに、入ると思った。
別にバスケットボールというスポーツを熟知しているわけではない。
けれど、三井がボールを投げた後直ぐにガッツポーズしたから、絶対に入ると思ったのだ。
きっと時間にしては一瞬。
だけど何故だかスローモーションに感じられて。手に汗を握る。
じっ、と三井とボールの行く末を見詰めた。見詰め続けた。


「…やった!」


やっぱり、と言うべきなのだろうか?
先程までの不調が嘘のように、三井のシュートが綺麗に決まった。
と、同時に上がった歓声
体育館に広がる熱気に翻弄されたのか、鼓動が高まってゆく。
コートの中の三井はとても輝いて見えて。凹んでいた事も忘れて強い眼光の愛しい姿に見惚れていた。


「またスリー…!」


そうしている間にも、試合はテンポ良く続く。
調子にのった三井のスリーシュートにより、湘北の点数はどんどん加算されていた。
弾む心で只管コートに熱視線を送っていると、不意に゙いつもの所にいろっ!゙と紡いだ縋るような声を思い出して。鋭く走った動揺を押し隠す為に制服の胸元付近をぎゅっ、と握り締める。
沢山の皺が歪に寄っていたが、気にしている場合ではなかった。
期待し過ぎないよう自分を必死で戒めなければいけなかったからである。
だからこそ、ただ強く強く服を握り締めたのだった。




久しぶりに近くで見る事が赦されたた愛しい姿
なのに、試合中だから近付けない
まだ、近付けない――…


























(三井。あー…。駄目駄目ですみません(T_T)
一番最初、書き始めた時に考えていたネタがまたスコンとぬけました。
相変わらず迷い迷いです。
本当はこの回で完結するはずだったのに、明らかに停滞中ですね…)



初出し 2012/04/30 00:56

前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ