SD

□三井と幼馴染み。シリーズ
2ページ/14ページ





・雨上がり編

茂る緑にはキラキラと陽光を浴びながら透明な水晶が輝いている。
今まで我慢していたのか、蝉がまた騒がしく喚き出した。
と同時に俺の隣りにいる女も騒がしくなる。


「フヒャヒャ!雨臭いね!雨臭い!!」
「ああ…わかった……わかったから前見ろ」
「ひーちゃん冷たいなぁ…」
「ひーちゃん言うな!!!」
「フヒャヒャヒャヒャ♪」


底抜けに明るい笑顔で笑う幼馴染みに溜め息が零れ落ちる。
ああ…
何故俺はコイツと今一緒にいるのか………
一緒にコンビニまでの道を歩きながら眉間に皺が寄ってゆく。
明日の試合のことを静かに考えたいのに……


「寿!寿は大丈夫だよ♪絶対大丈夫……ね!」
「……ぇ?」


意識が他の事にいってたからだけではなく今までと全く違う幼馴染みに戸惑って。間抜けな声が口からついて出る。
逆光になっている為良くわからないが、口元が穏やかにカーブしているのが見えた。


「……ぉい?」
「明日…試合応援に行くから……」
「……………………………」
「だから…勝利祝はチョコレートパフェね♪」
「……………は?」
「だからぁ、明日の帰りにチョコレートパフェ奢ってって言ったの!」
「はぁっ?!何で俺がっっ!!」
「私が食べたいから♪ちゃんと応援するから、勝って………一生懸命応援したご褒美として奢ってよ♪」
「っっ!!知るかよっ!!」
「えー!ひーちゃんつぅ〜めぇ〜たぁ〜いぃぃぃぃっっっ!!!」
「ウルセェッ!てか、ひーちゃん言うなって何度も言わせんなっ!!」
「フヒャヒャヒャ!」


また奇怪な声をあげて笑出だした幼馴染みに先程と同じように溜め息が零れ落ちた。
だが、先程とは気持ちが変わってるなんて意地でも目の前の幼馴染みに言ってやる気はなかった。










バトン
初出し 2008/08/05 01:12

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ