企画

□一緒にいれる幸せ
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側にいれる幸せを
側にいてくれる幸せを

ただ願う―――




一緒にいれる幸せ




___________



久し振りにゆっくり恋次と過ごせる!!


そう喜んでいたのに……


『用事があるから後でな』と言っていた恋次を商店街の一角で見つけた嬉しさは、すぐ壊れていった。



「…………井上…?」

そう。井上と二人でいたから…。


何だか二人は仲が良さそうで……

井上の笑顔や恋次の頬や耳が紅く染まってるのがものすごく自分の心を冷やしていく。




見たくない………


そう思いながらも目が離せない。



「あっっっっ……」

目の前では、恋次が少し屈み、井上が恋次の服の袖を引っ張て背伸びをしていた。


そして…

キ……キ ス…した?


もう目の前が真っ暗で、フラフラする。




「ん?朽木さん?」

回らなくなった頭に井上の可愛い声が響いた。




イヤダ!!!!!!


何も見たくない!
聞きたくない!!
知りたくない!!!



二人に背を向けて走り出した。

目的地なんてない。
その場にいたくなかった……

ただ…それだけで……











「ち、ちょっと待てよっっっっ!!!!」

だけど、逃走は長くは続かなかった。


私は小野瀬川の河原で恋次に捕まった。



「っっっ!!離せっっ!!!!触るなっっ!!!!!変態っっ!!!」
「は?意味わかんねぇ!!」

恋次の手を振り払おうとしても上手くいかない。

悔しくて、情けなくて、切なくて……
色んな感情がごちゃまぜになって…、自然と涙が零れ落ちた。


「お、おい?!ルキア?」
「恋次のたわけぇ……」

涙が止まらない。
こんな所を見られたくないのに………


「莫迦……変眉……ヘタレェェ……」


胸が 胸が痛い……



「ぁ…、ゃぁっ……!」
「泣いてるのに離せるかよっ!!」

情けないと思いながらも涙が止まらない私を恋次が強く抱き締めてきた。



どうして…?

井上が好きなのだろう…?


それなのにどうして…
どうしてこんな残酷な事が出来る……?



もう止めて?

これ以上期待 させるな………!!!




「…………せ……」
「?」
「………なせ…」
「…ルキア?」
「…離せ……頼むから………これ以上、貴様の側にいたくな…「なんでだ!?」


『なんで』?
それを貴様が聞くのか?

何処まで貴様は鈍いのだ?
もしかして、バレてないと思ってるのか?


どうしようもない程の怒りが、憎しみが込み上げてきた。



「離せと言っておるだろっ!!サッサと井上の所に戻れっっっ!!!」
「無理だ!!泣いてるオメェをほっとけるわけねぇだろ?!」
「貴様には関係ない事だっっ!!私がどうしようと、どうなっていようと貴様には関係な「あるっ!!」
「っっっ!!どうしてっっっっ!?」
「オメェが何よりも大切だからだよ!!」
「嘘つきっ!!嘘をつくな!!!!」
「は?!何が嘘なんだよ!!こんな悪趣味な嘘つくかっっ!!!」
「……だ、だが!」
「だいたいわかってんのか?俺が今まで、いや、今も頑張ってんのは、オメェを守れるようにだぞ!?オメェが傷つかねぇようにだぞ!?もう離れたくねぇからだぞ!?」
「………れ、れ ん じ……?」
「オメェが俺の事を嫌いでも、憎んでても別に構わねぇ!!ただオメェには幸せに笑ってて欲しい!!元気でいて欲しいんだよ!!!なのに!なのにオメェは泣いてる……んな辛そうな顔してんのにほっとけるかよっっ!!!」
「………っっ…!」


なぁ?
それは本心…?


自惚れても良いのか?

私を見てくれてると
想ってくれてると……


信じて… 良いのか?






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