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□バトン抜粋
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バトン抜粋〜海南Ver.〜
・隠れてそっと
→眺めていた影が動いた。
「牧さん……」
「っ?!神っ?」
「まさか牧さんが甘党だなんて……」
昼食時、いきなり背後から現われた神に牧は酷く驚いた。
が、神は特に気にした様子はなく牧が食べていたジャムパンを寂しげに見やる。
「牧さん……カレーパンを裏切るんですか?」
「はっ?!」
「カレーパンですよ!カレーパンっ!!」
「……意味がわからんぞ…神……」
「え?だって牧さんカレーパンっぽいじゃないですか!」
「っっっ?!」
寂しげに、だが何処か嬉しそうに笑う神に牧の眉間に皺が寄る。
瞳が鋭くなる。
「…牧さん…怖いです……ああっ!後輩を苛めるんですか?」
「……はぁ?」
「きっとカレーパンの祟りですね……祟りっ……!」
「……………………………」
「だから今日奢って下さいね?」
「意味わからん……」
(だが…きっと意味がわからないまま奢らされるんだろうな……)
思わず零れ落ちた溜め息に苦笑いをする牧の予想は外れることはなかった。
・空に向かって
→豚が飛んでますよ?
そんなふざけた事を言いながらニコニコ笑う神にどうすれば良いか、牧にはわからなかった。
暫く牧にとっては嫌な沈黙が続く。
「牧さぁ〜ん!神さぁ〜ん!!何してるんですかぁ?」
「あ!信!」
そんな空間を打破したのは、後輩の清田で…
牧は心底安堵した。
しかし……
牧はまだ知らない
「ほらっ!信も空に向かって豚が飛んでゆくのが見えるでしょ?」
「え゙っっっ……」
「え?まさか見えないとか言わないよね?」
「……………………………」
「莫迦でヘタレ以外は見えるんだけど……」
「っっっ?!牧さぁ〜〜ん」
「え…俺……?!」
厄介事が倍になって帰ってくることに……