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□パラレル翔陽
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とある庭師の日記(パラレル翔陽1)


★ある王族の日常★

〜〜庭師長谷川一志の日記より抜粋〜〜





○月×日 曇り

前から気になっていた事が解決した。
それは私がお世話になっている翔陽国の王子、藤真様についてである。

今までプリンス藤真は誰かに『藤真プリンス』と呼ばれると眉間に多大な皺を寄せ「『プリンス藤真』だ」と訂正されていた。
私にはどちらもさして違いがないように思われる。
どうしてそこまで固執するのかわからない…。
今まで我慢していたのだが、今日堪えきれずに執事の花形様に伺ってしまった。
すると、驚くべき答えがかえってきたのだ!

花形様曰く「『藤真プリンス』より『プリンス藤真』の方がイメージが格好良いと王子はおっしゃっていた。だからだろう……まぁ、俺にはよくわからないが……」ということらしい

目から鱗であった。
格好良さ……気付かなかった。
きっと自分が大差はないと思っていたからだろう。
だが、口には出せなかった。
私と花形様との話を何処かで聞いてらしたのか、いきなり現われたプリンス藤真が「理解出来るまで『プリンス藤真』と言い続けろ…!花形!!」と大きな声でおっしゃったからだった。

しかし、律義にもきちんと命令を実行されている花形様の言葉が私には『藤真プリンス』と繰り返しているように聞こえたし、今でも『プリンス藤真』も『藤真プリンス』も変わらない気がする自身の未熟さが恥ずかしい。

やはり、高貴な血筋の方は私みたいな平民とは違うのだろう……






△月○日 晴

本日、狩人の中の狩人、あの誰もが『有能』と口を揃えるウィリアム牧氏が仕留めた熊と共に王宮に訪れた。

私が今まで実際にお会いしたのは一度だけだが、丁度狩りの真っ最中だった。
その時の牧氏は鋭いまなざしで俊敏な動きを見せ、多量の獲物を手に入れていて……
噂は本当だったのかと大層感動したものだ。

だが、本日お会いした牧氏は狩りの時とは違っていて物凄く戸惑ってしまった。

「ミミリーを連れて来た」と穏やかに笑って牧氏は私に告げたのだが、特に誰とも一緒ではなく…
ミミリー様の居所を確認した私に自身が背負っていた熊(普通は台車で運ぶのに牧氏は肩が頑丈だ)を指差し「彼女以外にいないだろう?」と牧氏が瞳を真ん丸にしたからだ。

私は、『ミミリー』という品種なのかとも一瞬思ったのだが、当たり前のように「『ミミリー』って顔してるじゃないかっ!!ほら、特にこの目の辺りとか、手の雰囲気とか…!」と胸を張る牧氏にどう対応したら良いのかがわからなかった。

私がまだまだ未熟過ぎるから有能な彼の考えが理解出来ないのだろう。

やはり天才はひと味もふた味も違った。






×月△日 雨

本日陵南国よりプリンス藤真に衣服の貢物があった。

初めは、ただその衣装を身体にあて花形様にどう思うか確認されてらっしゃただけだったと思う。
しかし、花形様が「よくお似合いです」と返答するとプリンス藤真の機嫌が急降下したみたいなのである。

「何処が良いんだ!こんな服っ!!」と大きな声を出されていた。
あの衣装を見るに、多分花形様も「似合っている」という言葉を出す事に躊躇ったはずだ。
だが、常日頃ならプリンス藤真、御本人が「俺は何を着ても似合うな……フフッ」とおっしゃっていたから花形様も無理矢理「似合う」という言葉を用いたのだろう。

「送り主は魚住王子の名になっているが、絶対あのウニ頭の執事がニヤけながら入れたんだ!!」と毒づくプリンス藤真を見ながら花形様は苦笑されていた。

また一つ勉強になった。
陵南国の貢物をあまり信用してはいけないらしい……

まぁ、でも送られてきた衣装――蛙の着ぐるみ――が意外にプリンス藤真に似合いそうだと思ってしまったのは誰にも内緒である。








(あはは(汗)うきは様からネタ投下作品です♪うきは様に捧げます(←要らねぇって…)
相変わらず意味不明ですね……
サラッと流しましょう)



初出し 2008/11/03 02:28

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