宝物

□桑原和真の憂鬱(桑原君と雪菜ちゃん)
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 桑原和真、18歳。どこにでもいる普通の大学生…といいたいところであるが、彼には大きな秘密がある。
『おっ!桑さーん、今日暇?』
『あー、まあ暇っちゃあ暇かな。』
『今日実は合コンなんだけどさー、頼むから来てくれよ!お前来るとめっちゃ盛り上がるんだよ、ほんとに!』
『…すまん!合コンはパス!』
『えーっ!サークルのコンパとか飲み会とそんなかわんないって、とにかくこいよー。』
『そうだよ、ホントに一次会だけでもいいからさぁ!』
『お前彼女も予定もないんだろ?金欠なら貸してやるからよ!』

『それだけは…とにかくだめなんだよ…また今度野郎で飲みに行こうぜ?な!それに俺みたいなのがいたって女の子もよろこばねえよ。』
『!!いつも一番かわいいのを掠ってくくせによく言うぜ。』
『わりぃな、おまえら、じゃなー!』

 すたすたと帰る和真の背中。しかしなぜか漂う哀愁。
 残された男子はひそひそお互いに声をひそめて話し合う。
『高校からやっぱかわんねーな、まだ諦め切れないのかな、その片思いの相手とかいう女の子。』
『でも学年No.2の子に告られたのにふったんだよな、かなり好きなんじゃね?』
『まあふっといて影でユキナさんさえいなければとか言って泣いてたらしいけどねー』
『桑さんにそこまで愛されるってある意味すげえな、どんな子なんだろ?』

 その娘こそ桑原の隠し通している秘密、なのだ。




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