BL話

□かお・きず・こい
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こいつに逢った日を、今でも鮮明に覚えている


あれは、おれが20歳にもならないある日のことだ
単身海賊になるためにクルー集めをしていたとき、ある情報が耳に入った

美しい金色の髪に白い肌をした盲目の男の話

盲目という時点で普通は興味を無くすところだが、おれはその時無性にその男に会いたくなった
腕はたつらしいし、盲目もカバーすればなんとかなるだろうという簡単な考えだった


次の日、おれがその家を尋ねると、案外早く家のドアが開いた
そいつは一人暮らしと聞いたし、長い時間待たされるのは覚悟していたのだが・・・


「どちら様ですか?」


中から出てきたのは、想像していた人物とはかなり違っていた

金色のセミロングの髪に白い肌、これは聞いたとおりだが、一番驚いたのは顔だ
真っ赤な布が巻かれた目に傷だらけの顔・・・
体も華奢で、本当にこれが噂に聞く男なのかと疑ってしまった


「・・・聞こえてんの?」
「ああ、すまねえ
 おれはユースタス・キッドっつーんだ、今日はお前に話があって来た」
「・・・まあ、立ち話もなんだからあがれよ」


おいおい警戒心のないやつだな・・・おれが強盗や趣味がいかれたエロオヤジだったらどうする気だ?



家の中は殺風景だった
必要最低限な家具と生活用品のみの家
花もなければ絵や置物等もない
あるのは、カレンダーくらい


「お茶どうぞ」
「あ、お構い無く」


こいつはどこまでお人好しなんだ?


「うめえ」
「一人暮らししてれば自然にそうなる・・・さて、貴方がうちに来た理由を教えてもらおう」

「理由は簡単だ
 俺は今海賊として航海に繰り出すためのクルーを集めている、そこでお前をスカウトしに来た」


そう聞いたこいつはポカンとした顔をした後、ながーいため息を吐いた


「お前、今の俺が見えないのか?」
「しっかり見えている、金髪で顔が傷だらけの」


ぴく



「華奢な美人さんが」
「・・・い」
「は?」
「五月蝿い!傷の話はするな!!」
「なっ、ど、どうしたんだよ!?」

「出ていけ!おれは目が見えないんだ、戦えるわけないだろう!からかいに来たなら帰れ!不愉快だ!」
「何言ってんだ?おれは」
「黙れ!」



バシャッと男のカップの茶が顔面にかけられた
なおも出ていけと騒ぎ続ける男に負け、おれは男の家を出た


町に戻り、あの男の噂を聞いた男を捜し出して聞くと
あの男は顔にひどいコンプレックスを抱えているのか、あの男の容姿について話そうとすると激怒して話を聞かなくなるそうだ

先に言ってほしい

しかし、確かに悪いことをした・・・
見ぬ自分の姿を話されるのは辛いのだろう


「なあ、あいつの好きな食い物とか知らねえか?」



これが、キラーとの初めての出会い
まったく、今思い出しただけでも強烈な出会いだった




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