4部
□承太郎(6頁)
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承太郎さんに呼び出されて
待ち合わせた杜王グランドホテルのロビー。
慌てて髪をとかしリップグロスだけ塗って
タクシーに飛び乗りやって来ると、
ソファにかけて新聞を広げていた承太郎さんは顔をあげ、
目を通していたそれを小さく畳んで立ち上がる。
挨拶もロクにしないままスタスタと歩き出す
承太郎さんの歩幅に合わせて、
精一杯早足でついていく。
迷いのない足どりでホテルの奥へ進んで行く。
エレベーターに乗り込んだ所で
ある考えが浮かんだ。
(まさか…部屋へ?)
私は承太郎さんの滞在している部屋に通され、
それから先に起こることを想像して一人赤面した。