07/30の日記
22:39
Beside you!
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願い願われ愛されて。
「―――あ、」
素っ頓狂な声を上げたのは私ではない。
その証拠に、私の口には所狭しと詰め込まれた団子の数々…せっかく小十郎の目を盗んで見つけ出した団子を堪能していたところに、なにか見覚えのある男が現れた
…見覚えはあるが、一体どこの殿方だったか、
思案してみるがどうも、直ぐには思い出せそうにも無いのでとりあえずぺこりと頭だけ下げてみっともないであろう顔を背けた
「…あ、」
そうするともう一度、あの素っ頓狂な声が聞こえた
もぐもぐもぐ、
咀嚼して早めに嚥下してからくるりと振り返れば、未だこの殿方はそこに立っている
伊達家の人間では無い筈
上から下まで緋色の男は、確か我が家紋は背負っていなかった筈だ
ならば何故。
この伊達領地に居るのだろうか、よもや白昼堂々奇襲でもあるまいに…それに、この殿方の身なりはある程度身分のある者の仕立てである
「何か、御用でしょうか」
「っ…」
何も口にしない男に向かってそう問いかけてみると、びくりと肩を揺らした彼は、何かを言いたそうに口をぱくぱくさせて頬を赤く染めている
…多分、それほど年上でもないのだろう、
恐らく兄と同じくらいだ
そこまで考えたところで、はっとした
何故小十郎が居ないか、
確か今日は甲斐の方から虎が来ると言っていたはず
そうであるならば、目の前の殿方に見覚えがあるのは当然だった、我が兄の好敵手
「屋敷で迷われましたか、真田様」
「っ…某の名を?」
「勿論ですわ」
兄がお世話になっております故、
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